<ACL:G大阪3-1ブニョドコル>◇1次リーグE組◇3日◇万博

 G大阪の日本代表MF遠藤保仁(32)が「魔球弾」で、チームを今季初勝利に導いた。荒天の中で行われたブニョドコル(ウズベキスタン)戦は快勝。前半14分に遠藤が、強風を味方にしたミドルシュートで貴重な先制点を挙げた。公式戦7戦目で今季初勝利を奪ったG大阪は、就任2戦目の松波正信新監督(37)にとってもうれしい初星となった。

 風速20メートル超の風を受けた弾道が、ゴール枠へと押し込まれた。前半14分。遠藤は一瞬の判断で、春の嵐を味方につけた。自慢の右足から放ったミドルシュートは、風に押し戻されるようにして枠の外側から内側へと入った。今季初ゴールは、チームにとって公式戦7戦目にして初の先制弾だ。甲子園球場の“浜風”を計算したような、値千金の一発だった。

 「右から左に(風が)吹いていたと思います。多少なりとも考えながら打った。低いコースで速いシュートなら入ると思ったんで、イメージ通り。あの1点が非常に大きかった」

 やっと、苦しみから解放された。3月の開幕から、1カ月遅れの公式戦初勝利だ。その間はセホーン監督と呂比須ヘッドコーチらが解任されるなど、チームは泥沼にはまった。3月26日には年齢が近く、一緒にプレーした経験のある松波新監督が誕生。チームのためにも、兄貴分的な存在の指揮官のためにも、早く1勝が欲しかった。

 「極力早く1勝すれば気分的にも落ち着くかなと。それは松波さんも同じだったと思います。途中から監督を引き受けるのは、非常に難しいことですから」

 遠藤の思いは、37歳の若き指揮官にも伝わった。敗戦なら決勝トーナメント進出が難しくなっていた。それがFWラフィーニャが全得点に絡む活躍もあり、西野時代の「攻撃的ガンバ」を思い出すような3得点の完勝劇だ。松波監督は「(遠藤は)声で引っ張るタイプではないが、こういう(悪い)状況の中、プレーと姿勢で戦ってくれた。しかるべき選手が、点を取ってくれた」と心から言った。

 それでもまだ、厳しい状況は変わらない。ACLの次戦は出場停止の遠藤は「まだ先は長い。たくさん勝ちを積み重ねたい」。これまで勝てなかった悪夢を、春の嵐が吹き飛ばしてくれた。【益子浩一】