磐田FW阿部吉朗(31)は目に見える結果を求めている。17日、広島戦に向けて最終調整を行った。前節清水戦では後半途中から出場。チーム2点目の起点となるポスト直撃のシュートを放つなど、好調を維持している。今季公式戦2度目の先発が確実となったベテランFWは移籍後初ゴールを決めて健在ぶりをアピールする。

 体のキレは戻ってきている。磐田はこの日、試合が行われるヤマハスタジアムで非公開練習を敢行。阿部は開幕2試合こそケガなどでメンバー外だったが、復帰後はリーグ戦4試合連続で途中出場。約1時間半の最終調整後「いい感じで体が動くようになってきた」と、引き締まった表情で広島戦に懸ける思いを語った。

 前節清水戦は後半ロスタイムに輝きを放った。MF山田のクロスに体を反転させながらダイビングヘッド。ポストに直撃してネットを揺らせなかったが、最大の武器でもあるゴール前での果敢な飛び込みからチーム2点目の起点となった。それでも、満足はしていない。「惜しいだけで終わってしまったら駄目。ゴールまであと何センチの世界だけれど、決められなかったということはまだ練習が足りない」と貪欲だ。

 流通経大を卒業後、東京を皮切りに磐田が6クラブ目になる。日本代表の前田を筆頭に、攻撃陣は伸び盛りの金園、山崎がいる。2人の故障もあり巡ってきた出番で好調のチームに貢献。ここに来て、山崎はチーム練習に合流、金園も順調に回復している。若手が戦列復帰すれば、ポジション争いはさらに激化してくる。FW陣では前田より1年上の最年長でも、ポジションを譲らないためには結果を残さなければいけないことも分かっている。

 「チームとして連敗することは良くない。練習でやってきたことを全て出して勝てれば最高。その先に必ず結果はついてくると思う」。今季初黒星を喫した清水との悔しい試合を引きずらないためにはホームできっちりと勝つしかない。その重要な一戦で31歳がチームをけん引する。【神谷亮磨】