<J1:鹿島5-0G大阪>◇第8節◇28日◇カシマ

 鹿島が五輪代表FW大迫勇也(21)の2得点1アシストの大爆発で、G大阪に大勝した。大迫は後半26分に今季初ゴールを決めると、同44分に技ありアシスト。終了間際にはダメ押し弾を決めてMVPにも輝き、ロンドン五輪開幕まで3カ月を切り、代表メンバー入りどころか、エースに名乗り出た。

 悩める日々は、自らの声で終止符を打った。ゴール前で待ち受けた大迫は、MFドゥトラから横パスを引き出すと右ミドルを突き刺した。「めちゃくちゃドゥトラを呼びました。ここ何試合、内容よくても点を取れなかったから」。この1点で21歳が勢いづいた。後半44分には軸足の後ろにボールを通すノールックパスでゴールを演出。ロスタイムには相手のミスから転がり込んで2点目。力を証明するには十分な結果だった。

 五輪イヤーの12年を特別な思いでスタートさせた。年明け早々に体を動かしたのも「今年はロンドンがあるから」。Jリーグと並行しながらアジア予選、本大会を戦い抜く覚悟を決めていた。「超高校級」と言われていたU-17日本代表では、U-17W杯直前で代表メンバーから外れた苦い記憶がある。同じ過ちを繰り返したくなかった。

 今月はザックジャパンの国内組で行われたA代表候補合宿にも選ばれた。常連組が肩の力を抜いている中で、事実上の初選出に「リラックスなんてとんでもない。緊張感が半端じゃないですよ」と刺激を受けた。一方で、「組み合わせの話ばかりしていた。スペインと同じ組になって、楽しみがまた増えました」。欧州の強豪だろうと、物おじするつもりはない。

 五輪へ追い風となる完勝の後味は、格別だった。この日のMVPに選ばれ、ヒーローインタビューのお立ち台では、はっきりと言った。「まだまだゴールを奪える。これ以上の声援を、よろしくお願いします」。2得点1アシストで勝利の立役者になった若きエースは、これ以上の活躍をするつもりだ。【栗田成芳】