初のアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)出場を目標に掲げる神戸が、生え抜きの和田昌裕監督(47)の電撃解任を4月30日、発表した。リーグ戦は3勝5敗の13位で、巻き返しに向け早い時期での決断になった。後任には、昨季までG大阪を10年間率いた西野朗氏(57)の就任が最有力。5月3日大宮戦(ホームズ)を含め、正式決定までの数試合は安達亮ヘッドコーチ(42)が暫定的に指揮を執る。今季のJリーグの監督交代はJ2横浜FC、G大阪、川崎Fに次いで4クラブ目となった。

 改革を進める神戸が、監督交代に踏み切った。この日朝に和田監督に正式通告。練習前のミーティングで、選手にも伝えられた。3月下旬から公式戦6戦連続完封負けの屈辱はあったもののリーグ戦は13位。逆襲に向けた時間は十分にあった。それでも来季のACL出場権を得るため、早い時期での電撃解任になった。

 叶屋宏一社長は「残留、1ケタ順位が目標であれば、このタイミングでの交代はなかったかも知れません。あくまでもACL出場権獲得の可能性がある4位以内という目標を達成するための決断」と明かした。

 後任には日本屈指の名将である西野氏の就任が最有力だ。高橋悠太チーム統括本部長は「候補の1人」と認めた。全選手の前でも、西野氏の名前を挙げて後任候補であることを説明したという。この日、西野氏本人は本紙の取材に「神戸のリストにあるうちの1人ということなんじゃないか」と話すにとどめた。今後、本格交渉に入る。昨季まで10年間の指揮を執ったG大阪では、05年にリーグ、08年ACLなどのタイトルを獲得。FW大久保、MF野沢、DF伊野波ら代表クラスがそろう神戸の指揮を任せるのは適任といえる。

 一方で西野氏は、G大阪退任が決まった昨年末、浦和からオファーを受けながら大詰めの交渉で断りを入れた経緯がある。補強方針や、クラブ側とのビジョンの違いが生じれば交渉は難しくなる。神戸側は最悪の事態も想定。西野氏招聘(しょうへい)を断念した場合、高橋統括本部長は「(暫定監督の)安達さんも候補になる」と説明。他にも元フィンランド代表監督で、過去に神戸や広島で監督を務めたスチュワート・バクスター氏(58)にも就任の意思確認を行った。

 新監督は5月上旬に正式決定する方向。新生神戸が、上位進出を目指して再スタートを切る。

 ◆西野朗(にしの・あきら)1955年(昭30)4月7日、浦和(現さいたま)市生まれ。浦和西高、早大を経て日立(現柏)。96年アトランタ五輪代表監督、98年から柏監督。02年からのG大阪監督では05年Jリーグ、08年ACLなどを制覇。J1通算239勝(69分け129敗)は最多勝。