神戸が新監督として昨季までG大阪を率いた西野朗氏(57)と基本合意したことが16日、分かった。推定年俸は1億円の複数年契約。近日中に正式発表される。西野氏の引っ越しが済み次第、来週明けから練習の指揮を執ることが確実になった。「西野ヴィッセル」の初陣は、26日のリーグ鹿島戦(ホームズ)になる。

 細かい条件面などのすり合わせもあり、長期化していた交渉が、ようやく合意に達した。西野氏側は選手の結束とミーティングを充実させるために公式戦前日のホテル宿泊や、右腕でもあるフィジカルコーチのブローロ氏の入閣を要望。ブローロ氏との交渉も、近日中にまとまる方向になった。Jリーグ関係者は「来週からチームに合流することで、調整しているようだ」と説明。あとは正式発表を待つだけになった。

 神戸はリーグ戦5勝6敗の11位。日本代表DF伊野波や、鹿島からMF野沢、FW田代らを獲得した今季は初のアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)出場権獲得を目標に掲げている。4月28日横浜戦後に和田監督を解任し、現在は安達ヘッドコーチが暫定的に指揮を執っている。あくまでもACL出場にこだわり、日本屈指の名監督である西野氏に白羽の矢を立てた。

 この日までに西野氏は、本紙の取材に「1日も早く現場でやりたい気持ちがある」と前向きな姿勢を見せていた。ACL圏内の3位広島とは勝ち点4差。西野ヴィッセルの逆襲が、始まる。

 ◆西野朗(にしの・あきら)1955年(昭30)4月7日、埼玉・浦和(現さいたま)市生まれ。浦和西高、早大を経て日立(現柏)入り。大学時代から主に攻撃的MFで日本代表入り。96年アトランタ五輪では中田英寿らを擁する五輪代表を率いて、ブラジルを破る「マイアミの奇跡」を起こした。98年から柏監督就任。02年からG大阪監督に就任して05年Jリーグ、07年ナビスコ杯、08年ACLを制覇。09年度には天皇杯連覇を達成した。08年AFC最優秀監督。J1通算239勝(69分け129敗)は最多勝記録。昨年限りでG大阪監督を退任。