<J1:清水0-0横浜>◇第13節◇26日◇アウスタ

 FW高木俊幸(21)が試合後のピッチ上で泣いた。清水が横浜に引き分けた。再三の決定機を迎えながら、ゴール前での精彩を欠き無得点に終わり、高木も途中交代を命じられた。首位争いに加わりながら、11節神戸戦からリーグ3試合勝利がなく4位に後退した。ホームで開幕から8戦負けなしは続くが、若き情熱的ストライカーの涙は、勝負どころで勝ち切れないもどかしさがにじんだ。

 拍手とブーイングが交差した試合後のピッチで、ふがいなさと悔しさで、高木の涙が止まらなかった。前日21歳を迎えた若武者は、GK山本に肩を支えられ、ロッカールームに引き揚げた。「ホームで勝ち点3を逃した」と声を振り絞り、スタジアムを後にした。

 試合序盤、前節の浦和同様に横浜も守備を重視した。「マークされるのは当然。それを乗り越えないと勝てない」と話していた高木は先制点への道筋を探し続けた。前半11分。MF小林のスルーパスに抜け出しCKを獲得すると、同14分にはDF平岡のパスを受け取ると、迷いなくゴールに向かった。同22分にも相手DFから強引にボールを奪って強烈なシュートを放った。しかし、結果はついてこない。後半37分に交代を告げられた。チームは猛攻を繰り返したが、均衡は破れない。12日のC大阪戦からリーグ3戦白星から離れた。

 試合後、高木が泣いたのは2度目だ。前回は4月28日東京戦、東京V時代のデビュー地だった味スタで、決勝ゴール後の感激の涙だった。この日は一転、悔し涙となったが、同時にもう一言だけこぼれ落ちた。「突破口が見つからない。やっていてきつい」。ここまで5得点で相手にも研究されている。もがくほど壁にぶつかり、強すぎる責任感が大粒の涙となった。

 高木の活躍で上位争いに加わった。その高木と共に壁にぶつかった今こそ破るための手段を講じるのが指揮官の役割だ。アフシン・ゴトビ監督(48)は「残り21試合でもう1度チームを作っていく」と言った。リーグ戦再開は6月16日アウェー新潟戦。FW大前も「チャンスをもっと作って確実に決められるように、この中断期間で攻撃の連係を高めていく」と言った。泣けるほど熱く戦うストライカーがいる限り、エスパルスの闘志は消えない。【前田和哉】