ハモンが量産態勢に入る。札幌は今日25日、大阪・万博記念競技場でG大阪と対戦する。18日の前節神戸戦でJ初ゴールを決めたMFハモン(24)は、助っ人選手としては02年のFWバーヤック以来10年ぶり5人目の1、2号連発を狙う。24日は札幌・宮の沢での練習中に右太もも裏の違和感を訴えたが、出場を志願。攻撃の核がチャンスメーク、ゴールとフル稼働し、過去4戦未勝利の鬼門・万博で初勝利を狙う。

 どんな状態でも、ピッチでは結果を出す。それがハモン流だ。札幌・宮の沢での紅白戦では、トップ下に入ってプレー。途中で右太もも裏を痛めて離脱したが、それも本番をベストで迎えるための“儀式”だ。「痛みがあったから、大事を取っただけ。試合は出るよ。オレはやるよ」。移動用につける大きな黒縁眼鏡の奥で、野獣の目が光った。

 チャンスメーカー兼ストライカーへと変身を図る。前節神戸戦では、FW内村とのパス交換から抜け出し、決定的シーンを演出した。相手DFに倒されて得たPKを自分で決め、J初ゴール。デビュー戦の7月28日名古屋戦から4戦連続で先発出場し、無得点だったC大阪戦以外、すべての試合で得点に絡んできた。「次も当然、狙っていくよ」。過去にバルデス、ダビらリーグ得点王になった猛者ですら、なし得なかった1、2号連発を狙いにいく。

 石崎監督からはパスだけでなく、ゴールの意識も強く持つよう指示が出ている。「トップ下の選手が日本で成功するには、アシストだけでなく点を取ることが大事」。前線でプレーする選手が評価として最優先される要素は、アシスト以上にゴール数だ。かつてフランサ、ディエゴらを生かしながらチームをつくってきた指揮官の教えを、しっかり頭にインプットした。

 J1で初得点から連発した助っ人選手は01年ウィル、02年バーヤックの2人しかいない。指揮官は「同じではないが、ウィルに似てる部分はある」と言う。1点取れば当然マークされるが、ウィル同様、周囲を使ってパス、ドリブル、シュートと幅広い選択肢を使い分けられるからこそ、連発の可能性も膨らむ。

 敵地では10戦全敗だけに「とにかく勝つこと。勝ってホームに帰ってくる」と前を向いた。今季同じ相手に連敗したのは、前節の神戸だけ。相手は降格圏16位のG大阪。0-4と完敗した前回対戦の借りを返しにいく。【永野高輔】