<J1:広島3-0札幌>◇第31節◇7日◇広島ビ

 これを糧に強くなる-。札幌は首位広島に敗れた。新人のMF荒野拓馬(19)が、トップ下でJリーグ初先発も、シュートゼロ。チームは3試合無得点となった。守備では出場停止明けの2年目DF櫛引一紀(19)が2試合ぶりに先発復帰も3失点。チームはJ2降格する来季、若手主体のチームに切り替える。カギを握る19歳コンビが、J1最強チームから厳しい洗礼を受けた。

 徹底的にたたきのめされた。まずは前半17分、J1得点王のFW佐藤にDF裏をつかれ、DF櫛引が後ろから倒してPK。同31分にも佐藤にDF裏をつかれ失点。後半41分にはCKからヘッドで元日本代表DF水本にゴールを許し0-3。首位と最下位の差を、まざまざと見せつけられた。

 若い荒野にとってはほろ苦いリーグ初先発となった。トップ下で出場し前半36分に、ゴール前に切り込み右足で得意のミドルをうちにいくも、DFにブロックされた。同40分、芳賀からのくさびのボールを中央で受け、右アウトサイドで、走り込んだ岡本に流した。だが、これもフィニッシュにつながらなかった。ゴールキックではDF水本に1度も競り勝てず「悔しい。代表経験のある選手の強さを痛感した」と振り返った。

 この屈辱を来季への糧に替える。広島は58得点がリーグ2位、31失点はリーグ1位と、攻守の安定感が首位を走る要因となっている。石崎監督は荒野に対し「広島選手の判断の的確さ、ミスの少なさを見習ってくれれば。何もできなかったことを次に生かしてほしい」と今後の成長を期待した。主将の河合は「後ろで回しているときに、もう少し引いてもいい」とアドバイスを送った。次代を支える19歳が、J1最強チームに手玉に取られ、そこから学ぶことが大事だった。

 荒野自身も、相手の攻撃を目に焼き付けた。「ハードワークをしている。やりながら考えて変えている。質の違いを感じた。まねしたい」。来季トップチーム人件費はクラブ史上最低の2億5000万円に圧縮される。若手選手を主体にチームをつくり直す中で、今季J1で経験を積んだ荒野や櫛引らが成長することで、目標のプレーオフ進出、1年でのJ1再昇格につながる。【永野高輔】