G大阪の日本代表MF遠藤保仁(32)が、天皇杯3戦連発で屈辱の12年を締めくくる。今日29日の準決勝鹿島戦に向け、28日は大阪・万博練習場で非公開調整。今季はリーグ戦でまさかのJ2降格が決定。モヤモヤを吹き飛ばすには年内ラストゲームに勝ち、元日の決勝に進むしかない。「悪いことばかりが重なった」という1年。年の瀬の“遠藤弾”で、3季ぶりの優勝に王手をかける。

 終わりよければすべて良し-。ではなくとも、1年の最後くらいは勝って喜びたい。冷たい雨の中での非公開調整を終えた遠藤は、シャツ1枚で静岡へと向かう移動用のバスに乗り込んだ。激励に訪れた元同僚のフィテッセ安田と握手を交わすと、吹っ切れたように笑みを浮かべながら、12年の集大成となる鹿島戦へと視線を向けた。

 「悪いことが重なった1年。内容が良くなかった時もあった。それもこれも、自分たちの力のなさですから。でも、このメンバーでやるのは残り2試合。まずは明日の試合。年内最後に勝って、元日にサッカーができる喜びを味わいたい」

 Jでも屈指の戦力を擁しながら、リーグ戦でまさかのJ2降格。来季の目標を失いかけた時期もあった。それでも歩みを止めることはできない。鹿島に勝てば今季初タイトルに王手がかかり、優勝すればACL出場権を得る。エコパでの準決勝は07、10年度と2連敗中。壁を破った先に、希望の光が見えてくる。

 「ポジションが高い位置になれば、そこ(ゴール)を目指すのは普通のこと。誰が入ろうが、どんな形であれ、点を取れればいい」

 エースFWレアンドロが出場停止で、1トップにMF家長が入る事実上の「ゼロトップ」になる可能性が高い。天皇杯2戦連発中で、トップ下を務める遠藤の得点力にかかる期待はいつも以上に増す。今季限りで退任する松波監督は「チーム全体で点を取りにいく意識を持たせたい」。泥にまみれた2012年のラストゲーム。遠藤が元日決戦への扉を開く。【益子浩一】