<J1:横浜2-1磐田>◇第3節◇16日◇日産ス

 横浜が磐田を破り、7年ぶりの開幕3連勝を飾った。日本代表DF栗原勇蔵(29)の2年ぶりのリーグ戦ゴールで先制すると、1-1で迎えた後半15分にMF兵藤慎剛(27)が決勝点を奪った。守っても栗原は、“デスゴール”で知られる怖~い日本代表FW前田遼一(31)をシャットアウトするなど攻守に大車輪の活躍。26日のW杯アジア最終予選ヨルダン戦に向け、弾みをつけた。

 栗原が、チームを06年以来の開幕3連勝に導いた。前半45分。MF中村の左CKを、ゴール前のDF中沢が頭で落とす。FWマルキーニョスが戻すと、待ち構えていた栗原が体をひねり、左足ボレーでゴールネットを揺らした。自身初の左足ゴールだったが「ああいう場面では焦ってふかすことが多かったけど、(相手選手が)意外と寄せてこなかったんで」。リーグでは11年10月の新潟戦以来となる得点は、冷静な状況判断から生まれた。

 本職の守りでも魅せた。初得点した相手クラブが6年連続でJ2に降格しているという前田の「デスゴール」。その前田をマークするのは、右センターバックの栗原の役目だった。カウンターにも機敏に反応して自陣に戻り、前半は前田をシュート0本に抑え込んだ。「前半はボンバーさん(中沢)と一緒に抑えたけど、後半はみんなで抑えられた。割合うまく守れたと思う」。後半は2本のシュートを打たれた。だが44分にFKのボールに合わせたヘディングシュートの際は勢いよくジャンプしてプレッシャーをかけ、シュートの軌道をずらした。

 自分の身長より、わずか1センチ小さいだけの前田(183センチ)との対決。持ち前の的確な打点のジャンプに支障が出ないように、わざと前田とは少し距離を置いてマークした。これには中沢も「自分は相手にくっつくけど、栗原はあまりくっつくと自分が跳べないから。自分なりのやり方でやってる」。前田封じの裏には、巧みな技術があった。

 今日17日には、前田らとともに日本代表の合宿地・ドーハへ出発する。勝てばW杯出場が決まる一戦の相手は、昨年6月に代表初ゴールを決めたヨルダン。「チャンスがあれば点数を取りたい。勝ってW杯に行くことが一番だけど、何とかチームに貢献したい」。ザックジャパンでも「栗原流」を貫き、大きな手土産を持って帰ってくる。【由本裕貴】