仙台手倉森誠監督(45)が、アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)1次リーグ突破に自信を示した。前日2日のアウェーFCソウル戦で初黒星を喫したものの、悲愴感は一切なし。同組の3チームと一通りの対戦を終えた感触、故障者の復帰が見込まれる状況を踏まえ、決勝トーナメント進出への青写真を描いている。

 仙台空港で缶コーヒーを1口飲むと、手倉森監督からストレートな感情が漏れた。「あと少しだった。悔しいな」。後半40分を過ぎて相手GKが退場となり、中盤の選手がゴールを守るビッグチャンスをものにできなかった。試合直後は不敵な笑みすら浮かべていたが、時間とともにこみ上げてきた。ただ、本音はもう1つある。「いけるな」。2分け1敗。数字の上ではACL未勝利。それでも、力強かった。

 E組最強とみていたFCソウルだが、2日はホームにもかかわらず、中盤のプレッシャーがそこまで激しくなかったという。過去のJリーグ勢がもろさを見せてきたフィジカル勝負に来ることも覚悟していただけに、MF梁は「思っていたよりも引いてきていた」と意外そうに振り返る。手倉森監督も「ボールは持てるからやりやすい。自分たちがミスしなければ、そう取られない。次は勝つよ」と言い切った。

 さらに同監督は「ここからケガ人が戻ってくるから」とニヤリ。まず、攻撃的守備の核となるダブルボランチの復活が濃厚だ。右足小指骨折のMF富田は復帰後2試合に出場してゲーム勘も戻り、左足首の捻挫から当初はC大阪戦出場を見据えていたDF角田は予定を1週遅らせ、さらにコンディションを上げている。右太もも肉離れのFW赤嶺は6日の新潟戦に間に合うか微妙とはいえ、部分的に全体練習に入っており、長期離脱は避けられた。

 一方で必要となるのは“エアポケット”をなくすこと。FCソウル戦は前半5分に先制されてゲームプランが狂い、Jリーグでも3月30日のC大阪戦は後半6分に同点ゴールを許した。「立ち上がりに簡単に点を取られている」(同監督)状況を改善できれば、アジア初勝利はグッと近づく。

 1次リーグ後半戦は10日のホームFCソウル戦から始まる。「最後(5月1日江蘇舜天戦)は引き分けでも決まる状況に持っていきたい」と展望を示した指揮官。そのためには、24日のブリラム戦も含めた連勝が必須となる。【亀山泰宏】