<J1:新潟2-3鹿島>◇第8節◇27日◇東北電ス

 昨夏のロンドン五輪メンバーが躍動した!

 鹿島はDF山村和也(23)のゴールなどで、アウェーで新潟を破った。昨年8月25日の新潟戦(アウェー)で右鎖骨を骨折した山村が、8カ月ぶりのリーグ戦出場で試合を決定付ける3点目。チームも08年4月2日以来、リーグでの新潟戦勝利となった。

 鬼門の地を「晴れ舞台」に変えた。後半33分、鹿島DF山村は、MF野沢のFKを頭で合わせる。相手に当たって小さくクリアされるが、ボールは再び目の前に舞い戻ってきた。再び頭でとらえ、今後こそネットを揺らした。「ごっつぁんですね」。少し照れながら昨年5月19日(対札幌)以来のプロ2点目を喜んだ。

 指揮官の言葉に反して攻め上がった。ハーフタイム。セレーゾ監督から「休養明けだし、体力に自信がないならセットプレーの時に上がらなくていいぞ」と指示が出た。にもかかわらず、3点目の場面にはゴール前へ。「1失点目は自分がマークを外してやられていたので」。そのミスを11分後に取り返してみせた。

 試合終了間際には、DF大井のシュートをクリア。だが、まるでパスを返すかのように大井にわたしてしまい、1点差と迫られた。「中途半端だった」と猛省。昨年8月の新潟戦で相手選手と接触し、右鎖骨を骨折した。DF岩政の出場停止で巡ってきた因縁の復帰戦で、1得点2失点にからんだ。よくも悪くもピッチ上の誰よりも目立った。

 出場機会に飢えていた。昨夏のロンドン五輪代表だが、けがを境にチャンスは激減。ベンチ外も続いた。理由は分かっている。積極的にボールを奪う姿勢が欠けていた。練習中、指揮官から「もっと球際に厳しくいけ」と怒鳴られることもあった。相手に体をぶつけてボールを奪う-。課題に取り組んでいる中で迎えた一戦。最後は両足をつるほど「激しくいけた」。セレーゾ監督からも、ポルトガル語で「バモ(よくやった)」と声をかけられた。

 復活を印象付ける“ドタバタ劇”の後には、安らぎが待っていた。5月上旬に第1子を出産予定の恭代夫人から「よかったね」とメールが届いた。「今から返信します」。激しい乱打戦を忘れたかのような柔和な笑顔で、バスに乗り込んだ。【湯浅知彦】

 ◆山村和也(やまむら・かずや)1989年(平元)12月2日、長崎県生まれ。国見高から流通経大に進学。U-20日本代表として参加した09年1月のカタール国際でMVPを獲得。11年11月の広州アジア大会では全試合に出場し、主将として優勝に貢献。12年に鹿島加入。同年のロンドン五輪代表で、1次リーグのスペイン、ホンジュラス戦に出場した。J1通算19試合2得点。家族は夫人。184センチ、75キロ。血液型A。