大宮ベルデニック監督(64)が11日、電撃解任された。リーグ戦で5連敗を喫し、シーズン前半戦の勢いを失い失速するチーム状況を打開するため、クラブ首脳は監督交代を決断した。

 ベルデニック監督が電撃解任された。10日のC大阪戦で0-3と敗れ、クラブ首脳が緊急会議。11日午後に解任を通告された。10日の試合後、鈴木茂社長は「序盤、無敗記録を継続している時から『今季の目標は勝ち点53』と言ってきた。コンフェデ杯の中断明けから、7試合で勝ち点4。最近2カ月悪くなった原因はなんなのか、考えないと」と話していたが、指揮官交代という決断を下した。ベルデニック監督は、11日午前のリカバリーには姿を現し、練習後に日刊スポーツの取材に対し「何がどうなっているか分からない」と言葉少なに引き揚げ、数時間後には解任を言い渡された。

 リーグ戦5連敗で解任されたが、予兆はあった。リーグが進むうちに、監督、コーチの中で戦術観、サッカー観の相違が生まれていた。コンフェデ杯の中断期間中には相違はより大きくなった。小倉勉コーチがテクニカルダイレクターになり、普及部から黒崎久志氏がコーチになるなど、改善をはかったが遅きに失した。ある選手は「やっぱりそういうところの雰囲気は分かっちゃう」と分裂する空気を敏感に感じ取っていた。

 3日の鹿島戦で敗れた後は選手同士でミーティングを開き、選手一丸となって頑張る基本的なことを再確認した。またある選手は「指示が『頑張れ』だけでは厳しい」とこぼした。指揮官と選手、指揮官とクラブ間の溝は深くなるばかりだった。

 今回の解任劇は5連敗という直接的な要因がある一方で、クラブの完全に空中分解することを防ぐためのリミットだった。鈴木社長は「昨年の残留、今年の快進撃と功績は大きい」と手腕を評価していた。だがクラブ全体で、チームをもり立てる策がなく、監督解任という案しかなくなった。

 後任として当面は、岡本武行ゼネラルマネジャー(GM=46)が指揮をとるが、体制が落ち着きしだい、小倉勉テクニカルダイレクター(47)が監督に就任する見込み。5連敗と泥沼にはまりながらも、首位との勝ち点差は6。残り14試合で巻き返せるのか、大宮としてのチーム力が問われる。