磐田は10月31日、磐田市内で、今月10日のアウェーでの鳥栖戦に向けて練習を行った。ボランチのMF松岡亮輔(29)は第29節川崎F戦から2戦連続で先発起用されている。チームはけが人も戻り、再びレギュラー争いが活発化しているが、ベンチ外でも献身的な役割を貫き先発をつかんだ松岡が、アウェーの地でジュビロの意地を見せるつもりだ。

 松岡はこの日も、戦術練習では、的確なコーチングで守備陣を引っ張った。前節清水戦では、ゴールライン上にダッシュで戻って相手の決定的シュートを2本続けてブロック。献身プレーでチームをもり立てた。「けが人も戻って、チーム内競争も一から。2試合出たけど、自分ではまだレギュラーをつかんだとは思っていない。チームのための勝利を目指すだけ」と前を向いた。

 磐田に移籍して2年目。神戸時代は先発機会も多かったが、昨季はけがもありリーグ戦出場は1試合のみ。今季は練習試合で「サブのサブ」も経験。それでも自己アピールに走らず「チームがどうやったら円滑に回るか」を第一に考え、腐らずにチームを支えてきた。「献身的な部分で勝利に導く存在でありたい」と、遠征先では盛り上げ役を務め、練習でも意思統一を図る声を積極的に出し続けた。そして川崎F戦で今季リーグ初先発をつかんだ。

 「10月か11月にチャンスがくると、根拠もなく漠然と思っていて。準備はしっかりしておこうとやってきた。いろんな運と巡り合わせでチャンスをもらえて…。レギュラーをつかむ感覚は新鮮な気持ちだったし、人生って本当に分からないなと思った」

 今は「関わるチームを全員、幸せにしたい」と考えている。「チームが幸せになることで自分も幸せになっていく役割ってすてきだなと」。残留には残り4試合全勝が最低条件だ。鳥栖はエース豊田陽平(28)が好調で「自分たちに逆転できるサッカーのスタイルがない。だからこそ、失点はダメ。しっかりした入りをしたい」と見据える。陰日なたなく献身プレーが光る松岡が、チームとサポーターに幸せを運んでくれるはずだ。【岩田千代巳】