浦和一筋の元日本代表DF山田暢久(38)が29日、さいたま市内のホテルで引退会見を行った。「浦和の山田暢久」で現役を終えるのか、「サッカー選手山田暢久」にこだわるのかのせめぎ合い。高校受験を控える中3の長男からは「引っ越してもいい」と現役続行の要望があったが、浦和にこだわった。

 年内に結論を出す予定だったが「決めたのはついこの間」と悩んだ末の結論だ。「そういう(浦和で終わる)気持ちがありながら、他のチームでやりたいという気持ちもあって悩み、時間がかかった。ただ最終的にはこういう形で終わったほうが自分のためにいいのかなと思った」。浦和に同期入団し、昨季限りで引退し、鳥取のGMに就任した岡野雅行氏からもオファーがあったという。「冗談だろうけど電話で一緒にやろうと言われた。でも丁重にお断りしました」と笑わせた。

 まずは強化部に籍を置き、育成やスカウトなど幅広く活動する予定。将来的には浦和の監督も目標になりそうだが「それは思ってないけどいろいろ見えてくれば」と言った。山道守彦強化本部長は「強化部か社長か分からないが、クラブを引っ張ってくれる人材」と言葉に含みを持たせた。浦和カラーが色あせることなく、山田は第2の人生を歩み出す。【高橋悟史】