<J1:柏0-0横浜>◇第8節◇19日◇柏

 横浜のMF中村俊輔(35)が、日本サッカー界の未来を背負う後輩たちへ課題を挙げた。柏と引き分け、リーグ戦5戦勝ちなしとなった。両チームとも好機はつくるものの決定力不足。海外経験豊富な元日本代表のベテランは期待するからこそ、シュートがゴール枠に飛ばない日本の弱点を指摘した。

 落ち着いた、ゆっくりした口調で、中村は語りだした。「まあ、日本人の昔から悪いところだよね。(日本)代表もそうだけど。やっぱり決定力。ボールが枠に飛ばない」。海外経験も代表経験も豊富だからこそ、Jリーグでプレーし、W杯へ臨む後輩たちへの“愛のムチ”だった。

 横浜は、日本代表候補のFW斎藤を中心に前後半ともに4本ずつのシュートを放ちながら0点。対する柏も、前半途中から同代表候補のFW工藤がワントップに入り、合計7本のシュートを放ったが、決定力を欠いた。チャンスはあっても、スタジアムに響くのはため息ばかりだった。

 前半44分に、柏FWレアンドロが負傷交代。後半21分には柏MFハン・グギョンに代わってMF茨田が入ったため、試合終了まで約25分間は、フィールドの22人全員が日本人選手になった。外国人選手が下がり「全員が日本人で面白い試合だったけど。ゴール前の(コートの)3分の1まで持っていって、それでどう(シュートを)枠に飛ばすか。その能力が、両チームとも低かった」と指摘した。

 言うだけではなく、自分にもプレッシャーをかけている。後半20分には、ゴール前で柏DFを引きつけてボールをキープし、MF兵藤がつないで斎藤がシュート。決定機を演出した。「今日はよく動けていた。少しずつ(コンディションが)上がってきている。決定的な仕事をするのが役目だから、今日は今日で反省して、次はどうゲームを決められるかということ」と話した。

 次戦は中2日で、アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)1次リーグ最終戦で2連覇を目指す広州恒大(中国)とアウェーで対戦する。勝てば1次リーグ突破が決まる「次は大事な試合」。後輩たちのお手本になるべく、ベテランは戦う。【保坂恭子】