Jリーグ神戸が来季の新戦力として、元日本代表の大宮MF家長昭博(28)と、C大阪MF扇原貴宏(23)のダブル獲得に動いていることが6日、分かった。来季新監督には元C大阪で、ブラジルの強豪アトレチコ・ミネイロを率いるレビークルピ監督(61)の就任が確実。「クルピチルドレン」らの超大型補強で、クラブ史上初のタイトルに狙いを定める。

 神戸が、過去に例のないほどの超大型補強に乗り出した。元日本代表でスペイン1部マジョルカでもプレーした天才司令塔のMF家長と、アギーレジャパン入りを経験した将来有望なMF扇原のダブル獲得に乗り出していることが判明した。川崎FのFW大久保嘉人(32)にも3季ぶりの復帰オファーを出し、1億円超の条件を提示済み。大久保の移籍実現性は低いとはいえ、代表クラスをズラリとそろえ、来季J1の台風の目になる考えだ。

 まさに「クルピチルドレン」の編成になる。家長は10年にクルピ監督が率いたC大阪に在籍。MF香川がシーズン途中でドルトムントに移籍しながらも、MF乾(現フランクフルト)らとともに不動の主力として優勝争いを繰り広げた。扇原もC大阪ユースからの生え抜きとして、同年にトップ昇格。クルピイズムを体現する選手として、12年ロンドン五輪代表からA代表へと、着実にステップアップしている。

 既に、水面下で家長と扇原サイドには獲得を打診している模様だ。今後は年俸など、条件面の詳細な交渉が行われる方向になる。関係者は「神戸は積極的に選手獲得に動いている。成功すれば、かなりの補強になるはず」と説明。家長が在籍する大宮はJ2降格圏の16位、扇原のC大阪も17位に低迷する。所属クラブがJ2降格となれば、神戸側に優位に働き、交渉は一気に進展する可能性も出てくる。

 神戸は今季、一時は首位に立ちながらじりじりと順位を落として現在9位。A代表入りした23歳のMF森岡や、20歳のDF岩波ら将来有望な選手に加え、得点王争いをする今季14点のFWマルキーニョス、13点のペドロ・ジュニオールらJ1屈指の強力助っ人もいる。現有戦力に家長&扇原が融合すれば、優勝候補に挙がるほどの布陣になる。

 来季こそ、クラブ史上初のタイトルと、アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)出場権獲得へ、日本で実績あるブラジル人監督を招聘(しょうへい)。さらには、大物選手の補強にまで乗り出した。

 ◆扇原貴宏(おうぎはら・たかひろ)1991年(平3)10月5日、大阪・堺市生まれ。C大阪ジュニアユースから同ユースへ。10年トップ昇格、12年ロンドン五輪ではボランチとして6試合中5試合に先発し、2アシストで4強入りに貢献した。昨年7月の東アジア杯でA代表デビュー。今年9月の代表合宿でアギーレジャパン初招集。国際Aマッチ1試合無得点。184センチ、72キロ。

 ◆家長昭博(いえなが・あきひろ)1986年(昭61)6月13日、京都・長岡京市生まれ。G大阪ジュニアユースから同ユースへ。高校2年でトップ昇格を果たし、04年6月新潟戦でリーグ戦デビューし初得点を記録。08年大分、10年C大阪に期限付き移籍。10年12月にマジョルカに完全移籍。韓国・蔚山現代、G大阪、マジョルカ復帰を経て、今年から大宮へ。国際Aマッチ3試合無得点。173センチ、70キロ。