社長の直接出馬で稲本を口説き落とす!

 J2札幌の野々村芳和社長(42)が、獲得オファーを出している元日本代表MF稲本潤一(35=川崎F)と直接交渉するプランが24日、浮上した。この日、稲本は札幌のオファーに「評価してもらえるのはうれしい」と前向きな姿勢を示した。条件交渉は三上GMが担当するが、クラブの誠意をより強く伝えるため、12月上旬に同社長が直々に会いに出向く作戦を検討している。

 必要な人材は、クラブトップ自らが足を運び、熱意を伝えにいく。23日の最終戦セレモニーで稲本へのオファーをサプライズ公表した野々村社長が、今度は交渉の場で、らつ腕を振るうことになる。同社長は「どこかのタイミングで本人に会ってクラブの思いを伝えたい」と話した。

 札幌は既に、公私ともに親交の深い小野が直接、本人にクラブの環境や状況などを説明。さらに現在は、三上GMが稲本や、その代理人を通じて、条件交渉をすすめている。22日の正式オファーの段階で、稲本サイドの反応は良く、ここから、さらに本腰を入れていく。その切り札が、現役時代にピッチで対戦経験のある同社長の出馬だ。

 大宮などJ1クラブも興味を示しており、条件面だけで競っては、勝ち目はない。だからこそ誠意で勝負する。現在、日程調整中だが、野々村社長が12月上旬に直接交渉に臨み、札幌のビジョンや、稲本が加入した後のチームプランなどを説明する方向で検討中だ。同社長は稲本と同じボランチ出身。市原(現千葉)と札幌時代にリーグ、ナビスコ杯で計5度対戦(2勝3敗)するなど、同ポジションで競い合ってきた元Jリーガーとしての視点も生かし、フランクに口説く。

 J1選手へのJ2からのオファーではあるが、現時点での反応は悪くない。稲本はこの日、川崎市内での練習前、札幌のオファーについて「まだ残り2試合あるので、決められない」としながらも「評価してもらえるのはうれしいこと」と話した。つかみはOK。今年1月、小野を口説きにオーストラリアへ飛んだ同社長が、今度は稲本の心を動かしにいく。

 ◆札幌入りした日本代表歴がある選手

 DF平川弘(96年、横浜F)DF名塚善寛(99~01年、平塚)FW高木琢也(00年、V川崎)FW森山泰行(02~03年、名古屋)FW小倉隆史(02年、東京V)FW小島宏美(02年、G大阪)DF箕輪義信(08年、川崎F)FW中山雅史(10~12年、磐田)MF小野伸二(14年~、ウェスタンシドニー)。

 ※カッコ内は札幌在籍年と前所属。代表歴は国際Aマッチ出場のみ。