J2札幌GK李昊乗(24)が今季限りで退団することが29日、分かった。札幌とは今季限りの契約で、クラブは延長オファーを出しているが、既に来季J1に昇格する湘南が、札幌を上回る条件を提示。李サイドは移籍の方向で交渉に入っており、今季15試合に出場した主力の1人が、J1に引き抜かれることが確実となった。

 昇格失敗の余波が出てしまった。李は28日にクラブと1回目の契約更改交渉に臨み、札幌側の契約延長オファーに加え、湘南から条件提示を受けていることも確認した。今後は代理人を通して交渉することになるが、本人はJ1でのプレーを望んでおり、現時点ではカテゴリーだけでなく条件面でも優遇される湘南に移籍することが確実。他のJ1クラブのオファーが来る可能性はあるが、札幌残留は事実上、なくなった。

 湘南は今季全試合に出場した第1GKの秋元がJ1経験5試合と浅く、新人の第2GK梶川裕はJ経験ゼロ。J1残留には主力級のGK補強が急務となっていた。李は12年にJ1経験があり、来日4年で日本語も堪能。さらに10月26日の湘南との直接対決では、正確なロングキックで都倉の先制点をアシストし、守備でもリーグ最多86得点の相手攻撃陣を完封するなど、攻守でインパクトを残した存在だった。

 札幌は昇格を逃し、単年契約の主力選手引き抜きを警戒していたが、早くも痛手を受ける形になってしまった。李は11年に加入し、新人ながら正GKとしてJ1昇格に貢献した。12年に左アキレスけんを断裂も、今季から戦列復帰。GK金山と切磋琢磨(せっさたくま)しながら正GKを競っていた。3月の開幕戦は金山に譲ったが、バルバリッチ監督就任後は、12試合中7試合に出場するなど、指揮官の信頼も得ていた。

 現状では杉山、金山、阿波加と3GKの残留が確実だ。クラブでは、李の移籍が確実になったことを受けて、GKの補強も今オフのポイントとして動いていく。

 ◆李昊乗(い・ほすん)1989年12月21日、韓国生まれ。韓国東国大在籍中の11年に札幌入り。同年3月5日の開幕愛媛戦でルーキーながらJデビュー。同年は36試合に出場しJ1昇格に貢献した。12年5月16日のナビスコ杯で左アキレスけんを断裂。リハビリ中の13年8月に、ベトナム代表FWレ・コン・ビン獲得のため登録抹消。今季3月22日の北九州戦で1年10カ月ぶりに戦列復帰した。J通算61試合出場。10年韓国大学選抜、U-21代表候補。利き足は右。188センチ、74キロ。