G大阪のFW宇佐美貴史(22)が「エースの重圧」をはねのけて頂点に立つ。9年ぶり優勝に王手をかけた首位G大阪は、今日6日の最終節で最下位徳島と対戦する。過度の緊張からか上唇が赤くただれた痛々しい姿の宇佐美は、万博での非公開調整後に敵地入り。J1復帰即優勝をノルマに掲げたエースは、勝てば優勝確実の大一番で2戦連発を狙う。試合は午後3時半に開始される。

 いよいよ運命の最終節。22歳の若きエースに、重圧がのしかかった。最終調整を終え、敵地徳島へと向かう移動バスに乗り込む宇佐美は、マスクを着けていた。緊張を悟られないようにしたのだろう。だが、テレビカメラの前で取材を受ける際、少しの時間だけ外した。すると、上唇が赤くただれた痛々しい姿だった。

 「プレッシャーはゼロです。今までにはない感覚。(タイトルを)取らないといけない、絶対に勝ちたいという思いはありますけど、普段より気負っても、高ぶってもいないです」

 言葉では強がったものの、2日ほど前から異変があった。過度の緊張から唇に違和感があったのだという。振り返れば、17歳で初めてプロデビューした09年5月20日のACL・FCソウル戦の前もそうだった。「やばい。俺かなりやばいです」。そう漏らすと、吐き気をもよおした。点を取りたい。チームを勝たせたい。そうやって自分を追い込みながら、これまでも大事な試合に臨んできた。

 「点を取れる気はしています。優勝して、みんなでどんちゃん騒ぎをしながら大阪に帰って、ビールかけをする。監督にトロフィーを持たせて、このクラブハウスにトロフィーが飾られる。そういうイメージはできている」

 どん底からはい上がった。前半戦でチームは低迷。残留争いも覚悟した。宇佐美の復調とともに快進撃は始まり、前節11月29日神戸戦でエースが2得点を決めて今季初の首位浮上。ここまで25試合10得点の結果も残してきた。

 Jリーグの歴史で、J2降格圏16位からの大逆転Vは例がない。長谷川監督は「不安もある。ただここまで来たら、あとは結果を信じて戦うだけだ」。ナビスコ杯に続き、リーグ戦も制すれば、天皇杯を残して3冠に王手がかかる。G大阪の第2次黄金時代が到来する。【益子浩一】