山形DF瀬川和樹(24)が、圧倒的なスタミナの片りんを見せた。千葉・館山キャンプ2日目の27日、長距離の走り込みメニューがスタート。J2群馬から加入した左サイドバックは移籍加入選手でただ1人、最速ペース組に入って1000メートル×8本を余裕の表情で完走した。

 厳しい練習は望むところだった。瀬川はスタート直後から「久しぶりに走ったので、最初に心拍数を上げていこうと思った」と、19歳のMF汰木や大卒新人DF高木ら若手の多いグループで先頭集団を形成。別グループの移籍加入組が顔をゆがめていく中でもペースを落とすことなく、1000メートル4分前後の設定タイムを悠々とクリアしていった。山形で初の走り込みメニューを終えると「雰囲気も良いし楽しかった。まだ最初だから60%くらい」と涼しい表情で汗をぬぐった。

 自慢のスタミナは幼少期から培われた。自然あふれる広島県三次市出身で「遊ぶときは山登りとか魚取りだった。家でゲームはやらなかった」と振り返る。三良坂中ではサッカー部に所属しながら、冬場は駅伝チームを結成。市大会で陸上部を倒して県大会に出場したほどの実力を誇った。国士舘大でも入学直後から同級生を圧倒。「走り込み合宿でぶっちぎって、走りだけでAチームに上がった」と持久力が評価され、FWからサイドバックに転向して主力に抜てきされた。

 山形では左ウイングバックでの起用が予想されるが「より攻撃的にいけるので好き」と歓迎する。さらに「自分を追い込むのが楽しい」と言うように、石崎監督の厳しい練習を求めて移籍を決断した。座右の銘は、大学2年時に他界した父からの手紙に書かれていた「何苦礎」。元ストライカーらしく「アシストはうれしくない。一番目立ちたいからゴールを狙う」という瀬川が、3年目で初めて挑むJ1の舞台をがむしゃらに駆け抜ける。【鹿野雄太】<瀬川和樹(せがわ・かずき)アラカルト>

 ★経歴

 1990年(平2)4月25日、広島県三次市生まれ。6歳から兄の影響でサッカーを始める。バレーボールも得意だったが「サッカーが一番しっくり来なくて、突き詰めてみたくなった」。

 ★プレースタイル

 小学校時代から「ゴリゴリ系」。筋トレで鍛えたガッチリした体格を生かして、相手をはじき飛ばしながらの強引な突破を武器とする。

 ★性格

 他人と同じことを嫌う。スパイクもチームで唯一ディアドラ社製を愛用している。元イタリア代表FWロベルト・バッジョへの憧れも理由の1つだが「メジャーなものが嫌。私服も奇抜な色を選んだりする」。

 ★家族

 夫人。昨年9月に結婚したばかり。

 ★身長、体重、血液型

 178センチ、68キロ、B型。