サッカーのFIFAワールドカップ(W杯)で活躍した本田圭佑(36)が23日のW杯カタール大会の日本の1次リーグ初戦、ドイツ戦で解説者として本格デビューした。

インターネットテレビ局、ABEMAの生中継に登場。日本の2-1での逆転勝利を的確に解説しながら、システム変更を“予言”するなどし、見届けた。

そのサッカー観や独特の言い回し、時に自由すぎる解説で話題沸騰。SNS上では「本田の解説」「本田さん」がトレンドとなった。ピッチ外からでも、W杯で、その存在感を示している。

今回初めて本田解説を聞いた人も多いはず。気になる点を取材し、解説を解説する。

 

解説の解説 最も気になった点は、ほとんどが後輩、年下となる日本代表選手の呼び方だろう。放送中、ずっと年下の主力を、さん付けで呼んでいる。

「鎌田さん」

「三笘さん」

「堂安さん」

一方で、ともにW杯を戦った主力は、愛称で呼んでいる。

「マヤ」(吉田麻也)

「ユウト」(長友佑都)

「ヒロキ」(酒井宏樹)

しっかり線引きしている。

 

これまで、プレミアム音声サービス「Now Voice」で、W杯最終予選など、日本代表戦などを解説したことがある。この時からずっと、本田解説は、さん付けと愛称の線引きがしっかりしている。

1つ、大きく変わった点がある。

久保建英の呼び名。この夏を境に「久保さん」から、「タケ」へと“進化”した。このあたりを、本田に聞くと、実に明確な答えが返ってきた。

 

本田 「(久保さんと、この夏)東京でばったり会って、話している時、『本田さん、マジで“久保さん”やめてほしいっす』ってなって。いや、そういうふうに言ってくれる人には、呼び捨てで言うのはいいけど、みんながそういう人じゃないからね。

オレはまず、一律で、自分と一緒に長い間代表でやっていなかった人には、“さん”をつけるようにはしている。

むしろ、ビジネスの世界では当たり前の話なんで。ビジネスでは、それでお互い違和感は持ってないし。だから、サッカー界はちょっと遅れてんのよね。体育会系が過ぎる、というか」

 

サッカー界にはサッカー界のルール? がある。年長者への敬称は「さん」に加えて、「くん」もある。例えば、本田を呼ぶ場合、比較的親しい後輩は「ケイスケくん」と呼び、もう少し年が離れていると、ある程度親しくても「本田さん」となる。

ただ、本田のように年下へのさん付けは、ほとんど聞いたことがない。

このあたりの、随所に顔をのぞかせる“こだわり”が、グッと引き込まれてしまう本田解説の肝になっている。

 

その上で、これまで通りの強心臓に裏打ちされた確かなトーク力があり、何より、自他共に認める「エンターテイナー」。根底には、サービス精神もある。

前回自身が活躍したW杯ロシア大会後は、丸4年間、選手でありながら、カンボジア代表の実質的監督として代表戦を指揮している。

もともとの戦術眼、それを表現できる言葉の力、そして世界でもオンリーワンの選手であり監督であるという立場-。

そのすべてが溶け合っての、必然的な本田解説のいきなりの魅力爆発とみている。

【元サッカー担当=八反誠】

 

○…本田は日本で全64試合を無料生中継するインターネットテレビ局ABEMAのW杯中継のゼネラルマネジャー(GM)としてドイツ戦を含め、日本の1次リーグの試合など5試合を現地から解説中。次の登場は27日の第2戦コスタリカ戦(午後7時キックオフ)となる。