ドイツが初戦で敗れたものの、ここまでの欧州勢の活躍には目を見張る。

 開催国ロシアが決勝トーナメント進出を決めるなど、好スタートを切っている。初出場のアイスランドがアルゼンチンと引き分け、スイスもブラジルとドロー。欧州中堅国の健闘も目立つ。

 欧州の14チームは1次リーグ1巡目で8勝4分け2敗。欧州勢同士の対戦を除くと8勝2分け2敗だ。直接対決を除いて3勝1分け3敗だった前回大会と比べれば、躍進ぶりが分かる。対して前回大会4勝2敗の南米勢は1勝2分け2敗と苦戦。ロシア大会は、欧州の大会になりそうだ。

 「欧州開催のW杯では欧州が、南米開催では南米が優勝する」と言われる。第1回30年ウルグアイ大会優勝のウルグアイに始まり、過去20大会の多くは開催大陸の国が制している。欧州で行われた大会で南米が優勝したのは、58年スウェーデン大会のブラジルだけ、逆は前回ブラジル大会のドイツだけと、ライバル大陸での優勝は難しい。

 かつては母国以外でプレーする選手も少なく、移動も大変だった。第1回ウルグアイ大会は、船での長旅が敬遠されて欧州から4カ国しか参加しなかった。気候や芝などのピッチ状況も違った。食事にも慣れずに「アウェー」での戦いを強いられた。だから、開催国の大陸のチームは圧倒的に有利だったのだ。

 もっとも、近年は多くの南米選手が欧州でプレーする。気候にも、ピッチにも慣れている。欧州開催でも南米勢のハンディはなくなったはずだ。それでも、南米勢は苦しみ、欧州勢が伸び伸びとプレーしている。少なくとも、1次リーグの1巡目はそう見えた。

 開催都市によって差はあるが、涼しい(寒い)気候が欧州勢に合っているともいえる。さらに、今大会から導入されたVARが南米勢の足かせになっているのかもしれない。ここまでの試合では審判以外の「目」は南米勢に厳しいようにも思う。ブラジルはスイス戦でビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)によるビデオ判定を要求した。選手やチームからは求められないルールだが、気持ちは分からる。

 まだ大会は始まったばかり。出遅れた優勝候補が挽回するチャンスはいくらでもある。ただ、VARの影響からか窮屈そうにプレーをする南米の好成績はなさそう。今回は欧州勢の大会になりそうだ。