悲観した表情は見せなかった。左サイドで走り続けたDF長友佑都(31=ガラタサライ)は「ホームで負けたことは受け止めなければいけないが、初めて3バックで戦って、ポジティブな要素はたくさん見られたのではないかと、僕自身は思っている」と話した。

 左のウイングバックを務めた最初の76分間。「サイドは1人。そこで自分が攻撃の厚みを持たせられないと、このシステムは機能しないと思っていた」。

 本田圭佑や宇佐美貴史の2シャドーや、ボランチの大島僚太がボールを保持した瞬間、幾度となく前線へ飛び出した。前半4分の大迫勇也のファーストシュートは長友の左クロスからだった。「サイド攻撃も幅を持たせられた」と手応えを口にしたのは、右の原口元気とともに起点をつくれたからだろう。2失点はいずれもセットプレーということもあり「選手間で話したが、ポジティブな要素がたくさんあった。みんなネガティブにはなっていない」と話した。

 「初めてのシステムの中で出た課題や、できた部分がすごく見つかった。僕はこのチームはまだまだ、短い期間で良くなるなという確信を得たし、可能性を感じた。もちろんW杯ではもっと厳しくなると分かって上で、可能性を感じるシステムだなと思います」。

 こうまでポジティブに話すのは、積み重ねてきた経験があるからだろう。天国になった10年南アフリカ大会と、地獄を味わった14年ブラジル大会。この2つから得た大切な教訓は「どれだけまとまるか。そこに尽きる」。

 南アフリカ大会前は、同じように結果を出さずに、強い批判にさらされた。だが「南アフリカの状況のようにチームが1つになる、一丸となるというところにたどり着けるんじゃないかと、僕はそう思っています。結構、打たれ強い選手が多いと思うんです。だから、追い込まれれば追い込まれるほど、批判されれば批判されるほど、僕らは立ち上がる。その方が、僕らにとってはポジティブな状況なんじゃないかと思っています」。