ドイツが韓国に敗れ、19度目の出場で初めて1次リーグ敗退の屈辱を味わった。しかもグループ最下位という屈辱を味わった。

 2連覇を狙うドイツは、1次リーグ突破にはわずかな可能性しかない2連敗中の韓国と対戦。最初の決定機は、最低でも勝利が求められる韓国だった。ゴール手前約30メートルの位置でFKを獲得すると、強烈な無回転シュートを放ったのはJ1神戸に所属するMF鄭又栄。ブレ球はGKノイアーのキャッチを許さずにゴール前に転がったが、FW孫が詰めることは出来なかった。

 対するドイツは2点差以上の勝利で地力での16強入りが決まるが、最初からフルスロットルとははいえない立ち上がり。過去2大会で計10ゴールも、今大会は無得点のミュラーを外し、MFエジルが初戦以来の先発復帰。トップ下に背番号10を配置し、ボール保持率では上回るが、なかなか決定機を作れない。

 次の決定機も韓国。前半25分に右クロスのこぼれ球に反応したのは、FW孫。エリア右からダイレクトボレーを放つが、大きく枠を外した。

 ドイツは17大会連続19回目の出場で、これまで1度も1次リーグ敗退はない。一方で、前回優勝国が初戦で敗れた場合は、02年大会以降、3カ国全てが16強入りを逃す不吉なデータもあった。前半39分にはエジルからのパスを右サイドで受けたFWウェルナーがシュートを放つも、ゴールの枠をとらえることはできなかった。前半は0-0で折り返した。

 後半3分、ドイツがこの試合最大の決定機を迎えた。右クロスに飛び込んだMFゴレツカがフリーで頭を合わせた。ゴール左隅へ弧を描いたボールだったが、これは今大会好セーブが目立つGK趙がはじき出した。同6分にもマイナスの左クロスにゴール正面からウェルナーがボレーも、ゴール左に外れていった。

 同時に開始していたF組のスウェーデンが、この時点でメキシコから先制点。引き分けでは敗退の状況となったドイツは、後半13分にMFケディラに代えてFWゴメスを投入し、攻勢に出た。ただ、後半16分のMFクロースのミドルシュートが味方に当たるなど、ちぐはぐな印象が目立った。

 後半18分にはミュラーを投入したが、後半23分のゴメスのヘディングもGK正面をつく。終了間際にはフンメルスが至近距離でクロスに飛び込んだが、左肩にあたって枠を外れた。枠内シュートの少なさも目立った。カウンター攻撃に徹して守備を固める韓国を最後まで崩せず。

 逆に終了間際の後半47分に左CKを起点にゴール前へ抜けたボールに韓国DF金英権がフリーとなり、ゴールに蹴り込まれる。一度はオフサイドの判定でノーゴールとなったが、VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)によってゴール認定。絶望的な1点を奪われた。さらに同51分にGKノイアーも攻め上がり、敵陣でノイアーがボールをカットされる。すかさず縦へのロングパス。フリーで独走したFW孫にゴールへ流し込まれ、ダメ押された。

 メキシコに快勝したスウェーデンを上回ることはできず、1次リーグ敗退が決定。「負のジンクス」の餌食となった。