初か、52年ぶりか-。クロアチアとイングランドの準決勝は11日(日本時間12日3時)に開始される。両監督ともに若手育成に携わり、教え子を率いて世界一に近づくための大一番。クロアチアのズラトコ・ダリッチ監督(51)は、中東で腕を磨いた経歴の持ち主で、98年大会を超える初の決勝進出に挑む。イングランドのガレス・サウスゲート監督(47)は自国にとどまり強化を続け、優勝した66年大会以来の決勝を狙う。

 6月21日、ダリッチ監督はツイッターで「Thanks UAE」と書き込んだ。掲載写真は首都ドバイの世界一高いタワー、ブルジュ・ハリファ(828メートル)が「CROATIA」の文字と赤と白の国旗色に彩られた夜景だった。翌22日にも更新。感謝の言葉とサウジアラビア国旗を添えたのは、首都リヤドのキングダムセンター(302メートル)が同様に彩られた写真で、ともにアルゼンチン戦の3-0の快勝を祝っていた。

 中東で腕を磨いた。10年にアル・ファイサリー、12年からアル・ヒラル(ともにサウジアラビア)、14年からはアル・アイン(UAE)で指揮を執り、16年にはACL決勝まで導いた。その功績から、今大会中にも応援が届き続ける。

 代表歴はなく00年に引退し、中東に渡る前はU-21代表コーチだった。マンジュキッチ、ビダら現主力は教え子。昨年10月の欧州予選での不振を受けて最終戦前に急きょ監督に就き、プレーオフの末に切符をつかみ英雄となったが、若手時代の信頼こそが肝だった。

 1次リーグでは、ナイジェリア戦で途中出場を拒否したN・カリニッチを追放した。22人で戦うが、厳格な態度にむしろ一体感は深まった。「まだエネルギーは十分残っている」。母国から、再び中東から、祝福を受ける自信はある。