日本代表MF香川真司らを擁してドルトムントをブンデスリーガ2連覇に導いたユルゲン・クロップ監督(48)が、新たに就任したリバプールでプレミアリーグ1勝を挙げた。

 10月31日に行われたアウェーのチェルシー戦。開始4分で先制ゴールを許したが、ジリジリと主導権を握りかえして反撃。「小さな魔術師」と呼ばれるブラジル人MFフィリペ・コウチーニョが2ゴール、ベルギー代表FWベンテケもダメ押し弾を決めて、逆転勝ちを飾った。

 その時の試合後のインタビューが、英メディアで話題となっている。

 インディペンデント紙(電子版)によると、記者から「今日の勝利で、タイトル争いに再び加わることができると思うか?」と聞かれたクロップ監督は「Are you crazy?(頭大丈夫?)」と即答。「チェルシー戦のたった1勝だけで、僕らは優勝争いについて考えるべきなのかな?」と続けた。

 たしかにチームの状態は上向いているが、リバプールは現在、首位マンチェスターCとは勝ち点8差の8位。時期的にも、優勝うんぬんを話すのは早すぎる。

 クロップ監督は「ここに来て3週間くらい経つが、優勝争いなんて考えたことはない。考えるべきなのは次の試合のこと、どうすれば良いプレーができるかということ、そして自分たちのスタイルについてだ。今日の試合(チェルシー戦)だって、もっと良い戦いができた」と強調する。

 チェルシーのモウリーニョ監督が自らについて「スペシャル・ワン(特別な人)」と称したのに対し、自らを「ノーマル・ワン(普通の人)」というクロップ監督。地に足を着け、着実にチームを成長させていこうとする姿勢が、イングランドでの成功も予感させる。

 そんな同監督だからこそ、英メディアの突拍子もない質問にも、落ち着いて受け答えすることができる。ガーディアン紙(電子版)の別のインタビューでは「植毛をしているのは本当か?」と聞かれ、「本当だよ。格好良いだろう」。ニヤリとするクロップ監督の姿が頭に浮かぶようだった。

 【千葉修宏】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「海外サッカーよもやま話」)