マンチェスター・ユナイテッドやイングランド代表で活躍したレジェント、ウェイン・ルーニー氏(36、現米MLS・DCユナイテッド監督)が、かつての同僚クリスティアノ・ロナウド(37=マンチェスターU)について「マンUはロナウドを放出した方がいい」と提言した。

ルーニー氏は、英タイムズ紙のコラムの中で「ユナイテッドはロナウドを他クラブに出すべきだと思う。彼がテンハグ新監督のチームでプレーできないと言っているわけではない。ロナウドはどんなチームでもプレーできる」とした上で、ロナウドを移籍させた方がいい理由について次のように主張した。

「ロナウドはいつだって点を取ってくれる。でも私の個人的な見方からすると、ユナイテッドは現時点でタイトルに挑戦できるチームではない。だから今後3~4年の間に優勝できるようなチーム作りをすべきだ。そういう計画を立てないといけない」。

筆者も37歳のロナウドが今後3~4年、同じような活躍ができるとは思わない。ならばロナウドを放出し、テンハグ監督のプラン通り、チームづくりをするのはアリだなと思う。ロナウド自身も欧州チャンピオンズリーグ(CL)出場クラブへの移籍を希望していると言われており、筆者はルーニー氏の主張に賛成だ。

だが事はそう単純ではない。今夏、ロナウドの代理人、ジョルジュ・メンデス氏は他の強豪クラブにロナウドの獲得を売り込んだ。しかしバイエルン・ミュンヘン、チェルシー、アトレチコ・マドリードらが軒並み「いりません」と表明。古巣スポルティングとの話し合いですら進展しなかった。

どのクラブも将来をみすえたチーム作りをしている。いくら今季20ゴールが期待できるスターであっても、中長期的な視点からすぐに手を挙げることはない。ロナウドを放出することもまた簡単ではないのだ。

マンチェスターUは7日、三笘薫が所属するブライトンと今季開幕戦を戦った。ロナウドはプレシーズン練習への合流が遅れ、コンディションが万全ではないということでベンチスタートとなった。

だがマンチェスターUは前半だけでいきなり2失点。するとテンハグ監督は後半8分にロナウドを投入した。ベンチ入りさせているのだから起用するのは当然だ。それでも「また去年と同じか。これで今季はテンハグ監督の思うようなチーム作りは、100%はできなくなったな」と思わざるをえなかった。

ロナウドの存在は、言い方は悪いが麻薬のようなものだ。起用した瞬間は点を取ってくれるし、チームを助けてくれる。しかし、それは一時的なもので、チームの刷新を先延ばししているだけだ。ちなみにブライトン戦ではロナウドは無得点で、チームも1-2で敗れた。

ロナウドの引き取り手がなければ、契約が満了する今季終了まで待つしかない。その後、マンチェスターUが生まれ変わることができるのか。興味深く見ていきたい。

【千葉修宏】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「海外サッカーよもやま話」)

クリスティアノ・ロナルド(18年6月15日撮影)
クリスティアノ・ロナルド(18年6月15日撮影)