ワールドカップ(W杯)カタール大会を目指すブンデスリーガの日本代表選手を、現地取材から随時紹介していきたい。今回はシュツットガルトMF遠藤航(29)とDF伊藤洋輝(23)。

シュツットガルトの布陣
シュツットガルトの布陣

森保一監督が視察する中、8月28日のケルン戦(0-0)にそろってフル出場した。後半11分に退場者が出て10人となる展開だったが、2選手はそれぞれの特長を見せた。

まず遠藤は3-5-2の中盤でプレー。目立ったのは「相手に寄せるタイミング」「ボール奪取後の最初のパス精度」だった。味方が前がかりになった後にボールを失うと、広大なスペースを1人でカバーせざるを得ない。

ケルン戦の後半、競り合うシュツットガルトの遠藤(左)(共同)
ケルン戦の後半、競り合うシュツットガルトの遠藤(左)(共同)

そんな状況でDFラインの前で待ち構え、ケルンの攻撃を予測し、ボールが出た際には相手の攻撃を遅らせたり、または相手選手がトラップした際にはコンタクトを行える場所にポジションを取っていく。それを可能にする素早いスプリント能力も見えた。

特筆すべきはボール奪取後のパスの精度だ。ボールを奪う前に味方の位置を確認。時にはダイレクトで縦にボールを出してカウンターの起点となり、時にはボールを運ぶ。

運ぶことで相手を引き付け、味方が切り替える時間を稼ぎ、相手が嫌がる斜め方向にボールを出すなど、シュツットガルトの攻守の切り替えは遠藤のパスを起点に進んでいく。まさしくワールドクラスのプレー。日本代表でも遠藤の存在が欠かせないだろう。

ケルン戦の前半、競り合うシュツットガルトの伊藤(左)(共同)
ケルン戦の前半、競り合うシュツットガルトの伊藤(左)(共同)

続いて3バックの左でプレーした伊藤だが、「左利きのCB」は希少価値だといえる。

ボールを左足の前に置く効果は絶大で、相手にとっては消したと思われるパスコースのさらに外から左ウイングバック(WB)にパスを送るプレーは試合を通じてほぼ成功した。

相手がパスコースをさらに外に切った際は相手DFラインの裏に走る味方にタイミングのいいチップパス、斜めに40~50メートルのロングボールを送り、ケルンのDFラインを間延びさせた。

セットプレーの際には、188センチの体格を生かしてゴール前で攻撃するより後ろで相手のカウンターに備えるポジションを取ったことからも分かる通り、チームではスピードのある選手として認められていることを証明した。(セットプレーの際に攻撃に参加せずに後ろに残る選手はほぼ体が小さい選手か、スピードがある選手を保険としてチームは置く傾向が強い)。

そのスピード、ならびに188センチの体格は3バックに非常に適しており、自分の持ち場を大きく離れて自分の横の左WBをサポートするためにポジションをスライドせざるを得ない場面でも鋭い出足で相手のボールをカットする場面があった。

10人になってから相手に決定的な場面を作られそうになったが、最終的には10人で守り切った。伊藤自身も試合中にポジションを変える場面がありながらも、本人が試合後に語ったように、森保監督から対応力の高さを認められたのも納得の出来だった。

ブンデスリーガ所属の日本代表選手
ブンデスリーガ所属の日本代表選手