ドイツ第一国営放送局「ARD」の調査チームが、ブンデスリーガクラブのスタジアムから飲食物を持ち帰り、ブレーメン西部デルメンホルストの研究所で調べたところ、多くのスタジアムで清潔さが十分に保たれていないことが分かった。

 大衆紙「ビルト」など複数ドイツメディアが報じたところによると、バイエルン・ミュンヘンの本拠地アリアンツ・アレーナと、ブレーメンのホームスタジアムであるベーザー・シュタディオンでは、トイレの手洗い場から出てくる水に規定値以上の菌が発見され、特にベーザー・シュタディオンでは、蛇口付近から大量の病原体が見つかったという。

 続いて食べ物の検査では、アリアンツ・アレーナ、ベーザー・シュタディオン、そしてケルンの本拠地ラインエネルギー・シュタディオンで大腸菌を検出。ラインエネルギー・シュタディオンでは一般客が飲むビールからも、細菌が発見されたようだ。

 2006年ドイツW杯前に行われた調査では、フランクフルト、ダルムシュタット、マインツ、レバークーゼン、ヘルタ、カールスルーエ、ボーフム、ニュルンベルクのスタジアムの水道からレジオネラ菌が見つかっていたが、ARD調査チームの報告によると、このうちフランクフルトとボーフムではいまだにレジオネラ菌が消滅していなかった。

 デルメンホルスト研究所に勤務するギャリー・ツェルナー氏はビルト紙に対し、「水はきれいに見えるかもしれませんが、病気をもたらすこともあります。今回名前があがったスタジアムでは、しっかりとした検査がされていないことは明白ですし、これはあってはならないことです。飲食物に付着する細菌は軽視されがちですが、抗生物質が効かない菌も年々増加しています」とコメントしており、またボン大学のトーマス・キステマン教授も「今回見つかった菌は、もし免疫機能が低下している状態で体内に入れば、重篤化する恐れがあり、ひどい場合には死に至ることもあります」と警鐘を鳴らしている。

 ブレーメンは今回の報道について「調査が行われたとされる日に、飲食物の衛生についてファンからの苦情は来ていない」と話しているが、これも“たまたま”体調不良者が出なかっただけかもしれない。来季開幕まで2カ月半。病原菌が見つかったとされるスタジアムの運営側は、一刻も早く衛生管理の意識を高めるべきだろう。