30日付イタリア紙コリエレ・デロ・スポルトがACミランの日本代表FW本田圭佑(29)のインタビューを掲載した。

 同様のインタビューは一般紙ラ・レプブリカにも掲載されている。

 内容は次の通り。

 -ダービーはどちらが勝つか

 本田 ミランが1-0で勝つ

 -得点者は

 本田 バッカ

 -インテル相手に順位を上げるための最後のチャンスとなるのか

 本田 まさにその通り。だからこそ絶対に勝たなくてはならない。私たちはいい試合をしていない。しかし、まだ順位を上げるチャンスはある

 -CLのことも考えているか

 本田 あまりうまくいってはいないが、まだ諦めるほどではない

 -あまりうまく行っていないと言うのはなぜか

 本田 理由はいくつかある。少なくとも私がここに来てから(2014年1月以降)ずっとそう。伝統的にミランは常にCLで戦わなければならない。リーグでも上位に入らなければならない。私たちの頭にあるものを何か変えることが必要

 -精神的な問題が先にあるということか

 本田 このチームはメンタル的には強いと思う。それより、考え方を変えなければならない。過去の多くの成功がミランに勝者としてのメンタリティーを与えた。しかし今のチームは大きく異なる

 -戦術ではボールキープよりカウンターを狙うことが必要か

 本田 私の方からも1つ質問したい。ミランがヨーロッパを制覇していた時には、どのような戦い方をしていたのか

 -攻撃的でゲームとボールをコントロールしていた

 本田 私の考えは違う。日本でテレビで試合を見ていたが、私の印象ではカウンター攻撃をしていた。CLの多くの試合をまさにそのやり方で勝っていた

 -何が言いたいのか。今のミランはそのように戦うべきということか

 本田 それは分からない。決めるのは私ではない。人それぞれ異なった意見を持っているということだ。例えばベルルスコーニ名誉会長は(練習場の)ミラネッロに来るたびボールポゼッションが大事だと言う。おそらく彼が正しいのかもしれない。でも事実は、まだ自分たちの戦うスタイルを見出せていないということだ

 -解決法は

 本田 異なる意見が多すぎるのは良くないことだ。同じ考えを持つことが普通で大事だろう。クラブ、監督、選手、サポーター…。みんなが同じ哲学を持たなければならない。試合の結果に左右されることなく、それを推し進めていくことだ。敗戦の後でさえも、我々の考えを進めていかなくてはならない。毎回すべてを変えるのはもうたくさん。『ひどい試合をして負けた。だから(そのたびに)変えなくてはならない』という考えは、もうあってはならない

 -ミランには忍耐が足りないと思うか

 本田 そう。その言葉が適している。イタリアは日本と比較してあまり我慢できないこと知っている。もちろん成長したい、向上したい、世界最強クラブの1つに戻りたいという願望は、ミランのまわりではずっと持ち続けていることだ。しかし、私たちはまだ目標に到達する方法を探しているところ。それは忍耐があって初めてかなえることができる。例えば、うまくいかない時、常に責任者を探すことは、私は好きではない。それは簡単なことだが、団結とポジティブな姿勢が必要。重要なのはプロジェクトを前に進めていくこと。たとえインテルに負けるようなことがあったとしても

 -ミランは監督や選手を変えすぎたということか

 本田 ガリアーニ副会長の仕事が、いかに複雑かは分かっている。彼は世界で最も優秀な幹部の1人であるということを示してきた。できるだけ早いうちに世界のトップに戻りたがっている。これまでの2年間で多くの決断を下したが、それらは過去のものであり、今は現在のチームに照準を合わせて語られるべきだ。だれでもミスは犯す。でもそれはすでに過去のことである。目の前にあることに、我々は集中していく

 -インテルはなぜミランより勝ち点で8点上にいるのか

 本田 より試合に多く勝ったからだ。しかし彼らだっていい試合をしているわけではない。日曜の夜(ミラノダービー)は素晴らしい試合になるとは思っていない

 -イタリアのどこが好きか

 本田 選手としては、人々がみなサッカーを感じながら生きているという点だ。ここではほとんど生きる糧で、ある意味、宗教でもある。日本はこうではない。サッカーやスポーツは、一般的に趣味だ。私はひどいプレーをした時、それについて言ってくれるサポーターがいる方が、無関心の人よりもありがたい

 -まだイタリア、そしてミランに残りたいということか

 本田 ミランファンが、私がこれまでやってきたことに満足していないのは分かっている。まだ契約は1年半残っているので、これからどうなるか見ていこう。いずれにしても、最後まで私は全力をつくす

 -出ていこうと思ったことはあるか

 本田 1度もない。ガリアーニ副会長と私のプレーについて話した。ミランに連れて来てくれて感謝しているし、そのお返しをしたい

 -右サイドでプレーするのは難しいか

 本田 ここ10年ほど、私のポジションはトップ下だった。ミランに来てから、ずっと右サイドをやった。私の考えでは、サイドにはスピードがあり相手を抜くことができる選手がプレーすべきだが、それは私の特徴ではない

 -日本代表では違った本田となるが

 本田 ここではプレッシャーが大きいのかもしれない

 -ミランの小さな株主たちは、ジャンニ・リベラ(ミランの伝説的選手)が着ていた背番号10を永久欠番にすることを願い出た

 本田 リベラがミランの歴史を代表する選手であることは知っている。それは、彼の栄光に適するものだとは思う。ただ、そうでなければ私は自分のものとして(背番号10を)喜んで持っておく

 -サンシーロ・スタジアムにこれほど空席があるのを残念に思うか

 本田 いいことではないのは確かだ。女性や子供たちに、もっとスタジアムに来てもらうようにする必要がある。これはイタリア全体の問題だし、オーストリアでも同じことだ

 -ホルンという3部のクラブを買ったからよく知っている

 本田 その通り。ヨーロッパで買い取るクラブを探していた。何人かの友人にこういうチャンスがあることを教えてもらった。オーストリアでは外国人オーナーに関する制限はないので。すでに5人の日本人選手を獲得することができた

 -もはやアジア人がヨーロッパでクラブのオーナーになるのは普通のことになっているが

 本田 サッカーは経済を反映する。いま、アジアには資金がある

 -それだけではなく、サッカースクールも持っている

 本田 そこはもう4年間活動している。アジアの他の国やアメリカ、そして将来的にはアフリカにも拡大させたい

 -なぜそういうことをやろうと思ったのか

 本田 子供の頃から、夢はミランのようなビッグクラブでプレーすることだった。今は私が、同じような希望を小さなサッカー選手たちに贈る番だ。サッカー選手として野望は常に持ってきたし、今は企業家としてもそう思う。私のキャリアはサッカーだけではなく、人生すべてにおいてだ。いつかサポーターやイタリアの記者たちは『本田は背番号10番としてはいいプレーをしなかったけれど、会長としてはすごいことをやった』と言うかもしれない。私は諦めはしない。どうなるか見ていこう。私にとっては、今は多分忍耐を持つべき時なのかもしれない