ACミランの日本代表FW本田圭佑(29)がジェノア戦(ホーム)でセリエAでは実に約1年4カ月、483日ぶりのゴールを決めた。後半19分に左足ミドルシュートを決めた。前半5分にはFWバッカの先制点にも絡んだ。背番号10はフル出場し、2-1の勝利に大きく貢献した。

 文句なしのスーパーミドルだった。1-0の後半19分。中央約30メートル超の位置から本田が思い切って左足を振り抜いた。ドライブ回転し右に切れながらゴールに向かう。イタリア代表の相手GKペリンが横っ跳びしたが届かない。黄色いボールはワンバウンドし、そのまま右隅に吸い込まれた。

 これまで散々ブーイングを浴びせられてきたサポーターに向かい、両手の親指で背中の10番を差し示して、どうだのポーズ。「今までだったら外す流れだったが、まぁ打ってみようかなという感じで。入るときは入る」。今季は8月17日のイタリア杯ペルージャ戦で1点決めていたが、セリエAでは、開幕から7戦6発と量産態勢だった昨季、14年10月19日ベローナ戦以来のゴール。約1年4カ月、実に483日ぶりの得点だった。

 前半4分に思い切ったミドルシュートで相手ゴールを脅かした。調子は良さそうだった。同5分には、右サイド深くでゴールラインを割りそうなボールを必死に追い掛けて残し、中央へ好クロス。FWバッカの得点につながる貴重な働き。あきらめない。ミハイロビッチ監督や、辛口のイタリアのメディアにも認められつつある献身性で貢献。そして後半、足りなかった決定力も示した。チームの全2得点に絡んで勝利を呼び込んだ。

 相手のジェノアには今季前半戦のポジション争いで押しのけたMFスソ、FWチェルチが期限付き移籍しプレーしていた。本田は14年1月の移籍後、ずっとミランに居続ける。今季前半も含め、何度もベンチに追いやられながら復活し、指揮官の信頼をつかんできた。派手さはないが、頼りになる選手であることは間違いない。

 「良くも悪くも、いつも通り、自分の足でもう無理だろうと思われていたところで、ひとつ山をまた越えた。これがまた、自分の今後の人生に大きく生きていくだろうと思う。またとんでもない谷底に落ちそうな時にも、僕のことに耳に傾けてもらえれば」

 前日13日の会見で、FKの名手だった指揮官は本田がチームでFKを任されるために足りないものを問われ「私の左足だ」と答えた。その左足での一撃。1発回答だった。それでも騒ぐなとばかりに「とにかく、別に僕はゴールよりも、前に言ったようにチームが勝ったら僕が勝たせたと書いてもらえればうれしい」。注文とともに、こう締めくくった。【波平千種通信員】

 ◆本田の得点 セリエAでは2得点した14年10月19日ベローナ戦(アウェー)以来のゴールだった。リーグ56試合、同出場42試合ぶり。08年に名古屋からVVV(オランダ)に移籍後、海外ではCSKAモスクワ(ロシア)も含めリーグでの約1年4カ月ぶりは最長ブランク。これまではCSKA時代の7カ月が最も長い“沈黙”だった。