プレーバック日刊スポーツ! 過去の2月1日付紙面を振り返ります。2011年の1面(東京版)はチェゼーナからインテルミラノへ電撃移籍した長友佑都を報じています。

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 チェゼーナの日本代表DF長友佑都(24)が、昨季のクラブW杯を制したインテルミラノへ電撃移籍することが決まった。冬季移籍期間最終日の1月31日に正式オファーを受け、同午後7時(日本時間1日午前3時)の契約交渉期間終了直前に交渉が成立した。優勝したアジア杯での活躍で、欧州での評価が急上昇していた。インテルでJ1の鹿島に所属したレオナルド監督の下、欧州CLなど世界最高峰の戦いに挑む。

 アジア王者の勲章が、長友を世界最高のステージに導いた。冬季移籍期間最終日に事態が急転した。最後の補強へ各クラブの責任者がミラノ市内のホテルに集まって交渉し、長友は世界王者インテルから正式オファーを受けた。

 インテルの公式サイトによると、今季終了後の買い取りオプション付きの期限付き移籍で、DFサントンと、移籍金400万ユーロ(約4億4000万円)を長友と交換することで合意。サントンがチェゼーナ行きを渋り、ギリギリまで説得が続いたが、残り1時間を切って承諾した。

 世界王者インテルへの電撃移籍は長友にとっても想定外だった。今夏のビッグクラブの移籍を考えており、30日にイタリア・ボローニャ空港に到着した際にも「(移籍話は)聞いていない。どうなるか分からない」と話していたが、一夜で状況が変わった。もともと強豪でプレーしたいという気持ちは強く、オファーを受け入れた。この日はチェゼーナでの練習をキャンセルし、契約書にサインするため、急きょミラノに移動した。

 アジア杯での活躍が昇格したばかりの小クラブの日本人選手を、世界のトップ選手に変えた。アジア杯全6試合にフル出場し、試合では延長戦の終盤までスピードを維持するスタミナと、攻守に貢献する豊富な運動量が欧州のビッグクラブを動かした。インテル以外にもユベントスなどのビッグクラブから問い合わせが殺到していた。

 インテルは欧州CL(前身の欧州チャンピオンズ杯を含む)を3度、セリエAは昨季までの5連覇を含む18度の優勝を誇る世界のトップクラブの1つ。昨年12月には元ブラジル代表MFのレオナルド監督が就任。Jリーグの鹿島でもプレーした指揮官とともに戦うことになる。

 同チームの左サイドバックには守備的なルーマニア代表DFキブと、攻撃的なDFサントンがいるが、今季はサントンが不調で結果を出せていない。その代役として白羽の矢が立った。常に「世界一のサイドバックを目指す」と話すが、長友が「世界一」と位置づけるブラジル代表DFマイコンは、インテルの右サイドバック。目標を身近に見ながらプレーできるメリットもある。

 サッカー界で世界トップ10といわれるクラブで日本人が出場すれば、01-02年シーズンにプレミアリーグのアーセナルで4試合出場したMF稲本潤一(現川崎F)以来。かつて日本代表のザッケローニ監督も指揮した名門で、長友がさらなる飛躍を目指す。

※記録と表記は当時のもの