フランクフルトのMF長谷部誠(33)が、ホームのフライブルク戦に先発し、ブンデスリーガ1部通算235試合出場を達成した。ブレーメンなどで活躍した奥寺康彦を抜き、日本選手最多記録を更新。そんな歴史的なゲームでも、長谷部は長谷部だった。

 3バックの真ん中で先発出場。序盤から相手のドリブルをしっかりブロックする。マイボールとなれば、前線へ好パスを送った。1-1で迎えた後半14分、スルーパスからフライブルクに勝ち越し点を奪われる。オフサイドとも見える場面だったが、主審はゴールと認定した。直後の後半16分から選手交代に応じ、長谷部は4バックのセンターバックでプレー。そして同44分、フランクフルトのスローインかと思われたシーンでは相手FKと判定され、味方選手が激高する中、一人冷静に相手の素早いリスタートに確実に対処してボールを奪取した。最後まで最後尾から味方を統率したが、勝利には結びつかなかった。

 2008年1月に浦和レッズからウォルフスブルクに移籍。13年夏にニュルンベルクへ、そして翌年夏にハンブルガーSVに加入した。長谷部は試合後、9年に及ぶドイツ生活について「いい時だけでなく、そうでない時も多くを経験しましたから」。いつもの落ち着いた口調で、こう続けた。

 「これから先もっともっと記録は伸ばしてかなきゃといけないと思いますし、逆に若い選手に抜かれないくらいの、それくらい突き抜けた記録を目指してやりたいと思いますけどね」

 実直な人柄はドイツでも受け入れられ、今やチームの精神的支柱として欠かせない存在だ。コバチ監督も「(記録達成に)最高の言葉しかない。長谷部がチームにいてくれて有難いと思う。チームにとって大事な選手。人間としても、どんなサッカー選手よりも素晴らしい。彼自身、素晴らしいサッカー選手だけどね」と賛辞を惜しまなかった。

 フランクフルトは勝ち点35で、欧州リーグ出場圏内の6位につけている。

(中野吉之伴通信員)