インテルミラノのDF長友佑都(30)がフィオレンティナとの開幕戦(ホーム)にフル出場した。強豪インテルで7度目の開幕戦で堂々の先発。定位置左サイドバックで先制点にも絡み3-0快勝に貢献。ツイッターでは自らを「不死ゴリラ」と名乗ってみせた。W杯アジア最終予選オーストラリア戦とサウジアラビア戦を控える日本代表にも「不死ゴリラ」が底知れぬパワーをもたらす。

 長友はしぶとく強い。30歳のDFがセリエAの強豪で、これでもかと補強を繰り返すインテルで実に7度目の開幕戦を迎え、堂々先発した。イカルディの先制点につながるパスを出すなど攻守に躍動。開幕前からの好調ぶりを証明。「今日の試合でもスタメンで使ってくれた。そこは一定の信頼は感じる。貢献したいっていう気持ちはありました」。今季就任したスパレッティ監督に結果で応えた。指揮官も「素晴らしいプレーをした」と絶賛した。

 ここ数シーズンは出番に恵まれず、このオフも放出候補と手厳しい地元メディアに報じられた。だが、インテル愛を貫く男は、競争を勝ち抜き開幕スタメンをつかんだ。体幹トレーニングやヨガをチームにも持ち込み、愛妻平愛梨のアモーレパワーも力にしてしぶとく生き抜く日本人唯一のセリエA所属選手は、「不死鳥」という記事にツイッターで反応。「不死ゴリラやね。笑 まだまだ始まったばかり。また新しいサイドバックも来るみたいやし、6人での競争が始まる。気が抜けない。(原文ママ)」とつぶやいた。

 ゴリラの寿命は40~50年程度とされるが、ミラノの「不死ゴリラ」の力が、勝てばW杯出場が決まるオーストラリア戦でも必要だ。昨年10月のアウェー戦は出発前に脳振とうで離脱し、長友不在で引き分けた。決勝オーストラリア戦の激闘を制し優勝した11年アジア杯も、李の決勝弾は長友のアシストからだった。タフな経験はここ一番で生きる。さらに、相手DFセインズベリー(江蘇)は昨季までインテルの同僚で、よく知る。ピッチ内外で力をもたらすことができる唯一無二の存在だ。

 充実の開幕戦を「これがまた代表にもつながる。代表はやっぱり常に頭の中にあったので。離れないですね、そこは」。何とも頼もしい言葉で振り返った。【西村明美通信員】