日本が10日の国際親善試合(日産ス)で戦うハイチに日本代表入りを狙う逸材がいた! 日本人の母を持ち、ハイチと米国、日本の国籍を取得しているハイチ代表MFザカリー・エリボー(21)が8日、将来的に日の丸をつけてプレーする意向もあると明かした。自身初のA代表戦にはボランチでの出場が有力。日本の攻撃陣を抑え、ハリルホジッチ監督にもアピールするつもりだ。チームはこの日来日し、横浜市内で調整した。

 元ブラジル代表ロナウジーニョ似の甘いマスクで「なるべく日本語で頑張ります」と笑った。父はハイチ人のペドロさん、母は大阪出身の美樹さん。エリボーは日本で生まれ、3歳から米ボストンで育った。「初めての代表での試合が日本っていうのは、めっちゃうれしいですわ」。母との会話は英語禁止がルール。大阪弁も交えながら「代表は気持ちの良い場所。頑張って成長して、どこの代表でいくか考えたい。アーセナルが好きなので欧州にも行きたいしJリーグでもプレーしたい」と夢を明かした。

 国際サッカー連盟(FIFA)の規約で、ある国のA代表で公式戦に出ると、他国の代表にはなれない。エリボーは米国や日本の代表にも選出される可能性を残すため、過去には公式戦でのハイチ代表入りを断った。日本戦は公式戦ではない親善試合で「今回も(FIFAに)大丈夫と確認しました」。11年夏には大阪桐蔭高の練習に参加。日本人の優しさにほれ、練習の厳しさに刺激も受けた。同高の永野監督は「技術、スピードはなかったが、器用さはあった。パサーでみんなを生かすタイプだった」と懐かしむ。日本戦は“恩師”や祖父、平仮名でLINEのメッセージを交換する友人らにプレーを披露する舞台。守備が得意だけに「パスも受けて、タックルもして。香川選手とか抑えたい」と心待ちにした。

 好きな選手は本田。「お母さんは長友選手が好きなのでユニホーム交換、聞いてみようかな」。W杯ロシア大会を手にしたハリルホジッチ監督からのオファーが来た場合の選択を問われると「うれしい。その時に考えます」。日本語だけでフル回答した。【鎌田直秀】

 ◆ザカリー・エリボー 1996年(平8)2月1日、大阪・吹田市生まれ。3歳で米ボストンに移住。G大阪の練習に参加経験のある父の影響で、4歳からサッカーを始める。現在も所属する米MLSニューイングランド・レボリューションの下部組織に15歳で入団。15年にプロ契約。年代別の米国代表では主将を務めた。U-20(20歳以下)ハイチ代表ではリオ五輪予選にも出場。ポジションはボランチ、センターバック。愛称はザック。186センチ、68キロ。利き足は右。

 ◆ハイチ代表 カリブ海の中堅国。W杯北中米カリブ海4次予選で敗退し、来年のロシア大会には出場できない。FIFAランクは48位。W杯には74年西ドイツ大会に出場している。A代表の日本戦は初めて。