ベルギー1部オイペンのFW豊川雄太(23)が、11日のレギュラーシーズン最終節ホーム・ムスクロン戦でハットトリックを達成した。0-0の後半12分から途中出場すると、28分に移籍後初得点となる先制ゴール。元スペイン代表MFルイス・ガルシア(37)の左FKに、ニアサイドに飛び込んで頭を合わせた。

 その4分後には初アシストだ。右サイドからのクロスを大奥の左サイドで受けると、シュートのモーションから後方のルイス・ガルシアへパス。右足でのシュートが決まってチーム2点目が生まれた。

 さらにホットラインは続く。40分、ルイス・ガルシアの右CKに今度は中央で頭を合わせ、自身2点目。44分には味方シュートのはね返りをDFがクリアしようとしたところに猛然と詰め、背後からボールを奪って右足でゴールに流し込んだ。衝撃のハットトリックに場内はお祭り騒ぎ。元フランス代表MFのマケレレ監督(45)もピッチに飛び出して喜びを爆発させた。豊川も、チームメートに押し倒されて歓喜を分かち合った後、スタンドに向かって両拳を突き上げた。試合後は選手と、乱入したファンに胴上げされた。

 試合後は興奮冷めやらない様子で「マケレレ監督がずっと起用してくれていたので、何とか期待に応えたかった。3得点1アシストの結果にはビックリです。ただ、それよりもチームが1部に残留できたことがうれしい」と喜びを語った。

 チームは最下位の16位で最終戦を迎え、自動降格の危機だった。豊川が投入される前、同じ勝ち点24の15位メヘレンは2-0で勝っていた。試合前の得失点差はマイナス1。それをマイナス3にまで広げられ、上回るには4点が必要な状況だった。そこで全4得点をたたき出し、大逆転残留の救世主になった。

 1月にJ1鹿島アントラーズから完全移籍(昨季までJ2ファジアーノ岡山へ期限付き移籍)し、オイペンではすべて途中出場の通算4試合目だった。主な欧州1部リーグ戦で日本人がハットトリックを遂げたのは、昨年2月のオーストリア1部ザルツブルクMF南野拓実(23)以来6人目(7度目)。公式戦では9人目(10度目)となった。

 すべてA代表経験者のFW高原(フランクフルト)MF中村(セルティック)MF香川(マンチェスター・ユナイテッド)FW武藤(マインツ)FW柿谷(バーゼル)FW久保(ヤングボーイズ)と南野に肩を並べた豊川は、16年リオデジャネイロ五輪代表候補。前年まで2年間は日本の2部でプレーしておりA代表は遠い目標だったが、将来の飛躍を予感させる欧州でのハットトリックを、わずか30分弱で達成してみせた。