ドルトムントからトルコ1部ベシクタシュに期限付き移籍したMF香川真司(29)が、決勝点の起点になった。前節後、髪色をシルバーに染めた“銀狼”が後半25分に仕事をし、加入後無傷の3連勝に貢献した。

トルコ中東部マラティヤに乗り込んだ香川は、3試合連続のベンチスタート。チームが後半5分に左CKから先制し、1-0となった後半17分から出場した。前半に相手選手が1人退場して数的優位に。10人になり、リードを許しても基本的に自陣で守りを固めてきた展開で、密集で仕事ができる香川に白羽の矢が立った。

ギュネシュ監督から投入されると、司令塔のセルビア代表MFリャイッチを左に回して4-2-3-1陣形のトップ下へ。直後にリスタートから味方が隙を突かれて追いつかれたが、香川が25分、決勝点の起点になった。中央でボールを持って相手を引きつけ、左サイドバックのエルキンへパス。完全フリーの状態で送った左クロスにリャイッチがワンタッチで合わせ、ゴールに流し込んだ。決まると即座にリャイッチへ駆け寄り、抱き合って喜んだ。

その後も中央に陣取りながら中盤まで下がり、献身的にボールを受け続けた。2-1で無理をしない展開の中だったが、明らかに回り始める。後半ロスタイム1分には右サイドに正確なパスを通すと、そのままペナルティーエリアに進入。リターンクロスにフリーで頭を合わせたが、惜しくもゴール右へ外れた。顔を覆い、芝をたたいて悔しがりながらも、表情は笑顔。親指も立てた。2試合ぶりの加入後3点目とはならなかったが、自らがつくった決定機に納得の場面だった。

ポルトガル代表MFクアレスマとの連係も上々。冷静に勝ち点3の獲得に貢献した。後半17分からの出場は移籍後最長のプレー時間となった。3位ベシクタシュの4位マラティヤスポル撃破に導き、首位バシャクシェヒルとの勝ち点差を暫定で6に縮めた。次戦は来週末(日時未定)のイスタンブール・ダービー、ホームのフェネルバフチェ戦。残り12試合で逆転優勝を目指すチームにとって今月の大一番となる。リャイッチが出場停止になったため、香川が初先発する可能性も一気に高まった。