トルコ1部ベシクタシュMF香川真司(30)が、またもベンチスタートとなった。短い出場時間の中で無得点に終わった。

ホームにアランヤスポルを迎えた一戦。前半11分にMFリャイッチが決めた先制ゴールをベンチで見届けると、同30分ごろからウオーミングアップを開始。2-1となった後半21分に声がかかった。FWヤルチンと交代でピッチに入ると、空いたスペースに走り込みつつ、1トップのユルマズに近い位置で得点への意欲を示した。

だが、リードしている後半途中からではチャンスが少なかった。終了間際のロスタイムにMFクアレスマの左クロスにペナルティーエリアで反応しながら、わずかに外れた場面が個人最大のチャンスとなったが、ノーゴール。通算得点を「3」から伸ばせなかった。

前節、ガラタサライとのダービーマッチで敗れた。3位のままだが、首位ガラタサライ、2位バシャクシェヒルとは勝ち点4差に。残り2試合で逆転優勝する可能性が低くなり「チームとしてもファンとしても前節が大一番だったので。試合の入りも含め、消化試合に近いような雰囲気で、優勝が途絶えた感じがチームにもファンにもすごくあったと思う。非常にダメージがあったし、難しい雰囲気と精神状態にあった」と正直に吐露した。それでも「最終的に勝てたことは良かった」と振り返り、数字上の望みはつないだ。

その後は、途中出場が続く状況についてギュネシュ監督に直談判したことを明かした。現在3試合連続のベンチ発進を含め、12試合中9試合が途中出場となっている。「もうたぶん、こういう使われ方が残り2試合も続くんで。少ない時間の中で結果、ゴールを取れるかという意味で、やるしかない」と切り替えつつ「実際に監督とは今週、話をして。やっぱり自分自身『なぜなのか』という理由を聞く必要があったし。ここ2、3週間、非常にいいコンディションだったんで。そういうものを含めて話はしましたけど、最終的には監督に決定権があるので…」と複雑な表情。「ある程度、予想できた回答ではありましたけど」と、今季は最後まで途中出場が続くと受け止めたようだ。

残り2試合は敵地でトラブゾンスポル、本拠でカスムパシャと対戦する。「割り切って、やり切るしかない。(サッカー人生初の期限付き移籍となった)この半年、非常に、いろいろな経験をさせてもらったなあと。この3、4カ月、新しい場所、新しい地域と新しいチームで、厳しい状況も含めて得るものはあった」と後悔はない。

欧州3カ国目となるトルコでの挑戦に「レンタル期間が1年ではなく半年。そこで結果を残すのは、思った以上に簡単ではない」と痛感しているが「レベルが少し落ちると言われているリーグでも、来て早々に結果を出せるほど簡単ではないし、甘くなかった」という体験は発見だった。その上で「こういう経験は次のステップに行く上では、いいことだと思う。環境に関しては、逆に良すぎるぐらいだったし、非常にいい街だった」。そこでの残り2試合へ「やれることをやって、いい形でシーズンを終えたい。チームとしても、個人としても。どんな状況であれ、シーズンをやり切ることは1人のプロ選手としての使命」と言葉に力を込めていた。(オルムシュ由香通信員)