名門バルセロナに初の日本人選手が誕生する。日本代表MF安部裕葵(ひろき、20)が、鹿島アントラーズからスペイン1部バルセロナに移籍することが12日、正式に発表された。安部は移籍先のバルセロナでサイドバックに転向することも示唆。攻撃力が武器の安部がサイドバック? 本紙記者がその可能性について考察した。

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鹿島では左MFでの出場が多く、広島・瀬戸内高時代は完全なFWだった。サイドバックに入る安部を想像したことはなかったが、このコンバートは日本代表にとっても明るい話題かもしれない。

身長171センチ。DFとしては小柄に見えるが、10年近く世界の第一線で活躍しているDF長友は170センチだ。上背がなくとも、運動量や俊敏性、フィジカルがあれば世界と渡り合えることは、先達が示している。

安部といえばスピードに乗った縦への突破が魅力だが、前からの連動した守備を掲げる今季の鹿島では、守備での貢献が光っていた。それを支えるのは圧倒的なスタミナ。高校時代から長距離走は常に1位だった。実は肉体改造にも着手済みで、今季は海外移籍を視野に「1日5食」の生活で体重を増やしていた。賢い安部なら、守備のイロハもすぐに飲み込むはず。バルセロナで新たな武器を身につければ、思わぬ形で大化けし、長友の後継者問題も解消されるかもしれない。

懸念材料は語学か。かねて英語は勉強していた安部だが、スペイン語は「数字を覚えるところから」と、ほぼゼロからのスタートとなる。よりコミュニケーションが求められるポジションだけに、早急なスペイン語のマスターがサッカー人生を大きく左右しそうだ。【鹿島担当=杉山理紗】