サッカーのスペイン1部リーグのマジョルカに期限付き移籍した日本代表MF久保建英(18)は23日、チームのホームスタジアムで加入後の初練習に参加した。赤い練習着に身を包み、ボールを使ったウオーミングアップなどで体をほぐした。現地報道によると、通常、期限付き移籍で放出された選手は、保有権を持つクラブとの試合には出場できないが、レアル・マドリードがこの条件を撤廃したという。これにより10月20日のRマドリード戦で、久保がジダン監督に直接アピールする可能性が出てきた。

久保はマジョルカでの練習前に、ピッチ上でチームメートに頭をたたかれて歓迎される新加入選手にとっての「恒例の儀式」を受けた。スペインのメディアも数多く駆けつけ、同国1部のRマドリードから加入した18歳への注目の高さをうかがわせた。

禁断の対戦が可能になった。通常、期限付き移籍の選手が保有権を持つクラブとの試合で活躍することを避けるため、出場出来ない条件で契約するのが慣例。だが、Rマドリードは今季からこの「鉄のおきて」とも言われる条件を撤廃。久保だけでなく、セビリアに加入したDFレギオンら期限付き移籍した選手全員がRマドリード戦に出場できることが可能になったという。

久保にとっては大きなチャンスとなる。ジダン監督から「将来、重要な選手になる」と言われ、トップチームではないが、Bチーム・カスティージャ(スペイン3部)にとどまることを懇願されたが、選んだ道は強豪国の代表選手がひしめき合う最高峰リーグ。強敵を相手に力を示し、念願のトップチーム定着を目指す予定だったが、さらにジダン監督の前でアピールする場まで得ることになった。

1部リーグはすでに開幕し、マジョルカは17日にホームで乾が所属するエイバルを2-1で破り、白星発進した。布陣は4-1-4-1を採用。久保はRマドリードと同じ2列目の右か、中央で起用される可能性が高い。買い取りオプションはなしで在籍は1年のみ。長期的な目で見られることはなく、得意の位置で最初から結果を求められることになるだろう。

早ければ、25日にホームで行われるRソシエダード戦でデビューする可能性もある。スペイン語で「監督とは話していないが、出場する準備はできてる」と意欲を口にした。そしてRマドリード戦は10月20日にマジョルカのホーム、来年4月12日にはRマドリードの本拠地「サンティアゴ・ベルナベウ」での試合が組まれている。久保にとって最大のアピールの場に立つため、早く結果を残してレギュラーをつかみ取る。

◆マジョルカ 1916年創立。ホームタウンはパルマ・デ・マジョルカ(マジョルカ島)。96-97年にスペイン2部で3位となり1部昇格。10年5月に経営破綻を宣言。12-13年に2部に降格し、16-17年には3部に降格。1年で2部に復帰すると、昨季は7年ぶりの1部復帰を果たした。