開幕した19-20年シーズンの欧州チャンピオンズリーグ(CL)で日本人対決が実現した。

日本代表MF南野拓実(24)が先発したザルツブルク(オーストリア)と、同MF伊東純也(26)がスタメン出場のゲンク(ベルギー)が対戦。欧州6シーズン目にして念願のCL本戦初出場を果たした南野が、前半だけで2アシストをマークした。

電光石火、まずは開始1分41秒だった。攻め上がっていたペナルティーエリアの真ん中から、味方が組み立て直した際に下がり、両手を広げてボールを要求。中盤から出てきた縦パスをトラップすると同時にターンし、前を向き直した瞬間にスルーパスを出した。これを19歳のFWハランが右足で決め、いきなり均衡を破った。

5月のU-20ワールドカップ(W杯)ポーランド大会ホンジュラス戦で、1試合9ゴールという個人最多得点記録を打ち立てたノルウェーの新怪物が、CL初ゴール。これを南野がお膳立てする最高の立ち上がりとなった。

南野は前半34分、2点目の起点にもなった。4-4-2陣形の右サイドハーフとして、自陣深くまで守備で戻った直後。右サイドバックのクリステンセンが止めたボールを拾うと、すかさずクリアぎみの縦パスを前線に大きく蹴り出す。これを韓国代表FWファン・ヒチャンが競り合ってモノにし、ラストパス。再び抜け出したハランが左足で落ち着いて流し込み、2-0とした。

ファンが3点目、ヘンクDFルクミが1点を返し、ハランがハットトリックを達成して4-1で迎えた前半ロスタイム3分には、再び南野が、衝撃のアシストを記録した。自陣のペナルティーエリア外からドリブルを始めると、マークについたDFを力強く振り切って約70メートルを独走。左サイド深くから、ピッチの4分の3弱を走り切った後にもかかわらず、左足で正確なクロスを上げた。これが反対の右サイド奥に走り込んだ18歳のMFソボスライにピンポイントで届き、右足ダイレクトで5点目のネットを揺らした。

南野が前半だけで3得点に絡む活躍で、オーストリア王者がベルギーのチャンピオンを圧倒する試合に貢献した。前半だけで5-1という驚きのスコアになった。

ゲンクの伊東は、前半24分に南野とマッチアップするも1対1は仕掛けず。なかなか攻め切ることができずに後ろへ下げる場面が多く、ハーフタイムにベンチへ下げられた。また、ザルツブルクには日本の世代別代表常連だったFW奥川雅也(23)も在籍しており、ベンチスタート。後半17分からソボスライと交代し、こちらもCL初出場を遂げた。

試合は後半、ヘンクのFWサマッタがもう1点を返すも、ザルツブルクがDFウルマーが再び突き放す展開に。南野は初得点こそ次節以降に持ち越したが、ドリブル、ボールキープにワンタッチパスとレベルの高いプレーを見せ続けた。後半ロスタイムには自軍のペナルティーエリアで相手からボールを奪うなど、無尽蔵のスタミナで守備でも結果を出した。走行距離は速報値でチーム3位の11・6キロだった。

結果的に嵐のようだった前半から一転、後半は両チーム1点ずつという少々締まったゲームになった。シュート27本を放ったホームのザルツブルクがゲンクに大勝し、6-2で白星発進した。