【アーネム(オランダ)21日=エリーヌ・スウェーブルス通信員】オランダ1部フィテッセに加入した本田圭佑(33)がクラブ施設で入団会見を行った。練習後、グレーのシックなスーツに着替え、ネクタイを締めて登壇。英語と日本語で、テレビカメラ5台、約20人ほどの報道陣に丁寧に対応した。

予定の開始時間は練習後の午後2時半だった。本田は「準備はいいですか?」と言いながら登場。しかし、司会をするクラブの広報担当者がなかなか来ない。すると冗談交じりに「もう始めましょうか?」などと言って、場を和ませた。

本田と入団会見といえば“名言”が付き物。14年1月のACミラン入りの際には、決断の理由を「心の中のリトル・ホンダが『ACミランだ』と答えた」と英語で言った。

10年1月のCSKAモスクワ移籍時は会見がなかったが、08年1月のVVVフェンロでは完璧なオランダ語で「車のホンダとは違うホンダです」とあいさつし、爆笑を誘った。

05年1月の名古屋入り時は「1年目だからといって遠慮しないで、貪欲にレギュラーを取りにいきたい」とぶち上げた。このころにはRマドリードで10番を背負うことを目標としスペイン語を少しずつ学んでいた。

33歳、プロになって7クラブ目の、お披露目の場。今回はぶっ飛んだ「名言」はなかった。それでも、VVVフェンロ時代との「違い」について聞かれると、冷静に次のように答えた。

「自分のこと? (移籍当初は)黒髪だった。黒髪でプレーする姿を見たことは? もうだいぶ前のことで、最初の会見で『本田です、でも車のホンダではありません』みたいに言ったことを覚えている。今とは全く違う。経験もなかったし、ここオランダで成功することを楽しみにしていた。当時は、英語も全く話せなかった。このオランダの環境、オランダサッカーが今日の本田圭佑をつくりあげた。それは真実。だから本当に感謝している。今回の挑戦では、オランダサッカーにもできるだけ貢献したい。そして、この10年でどれだけ成長したかを見せたい」

08年1月のVVVフェンロ入団時のまだ初々しい会見から11年。人間的にも成熟し、深みを増した33歳は、しっかり英語でやりとり。オランダへの感謝と恩返しも口にした。

「リトル・ホンダ」も「車のホンダ」も出てこなかったが、その場にいる「ケイスケ・ホンダ」その人が、しっかりと成長し、オランダに帰還したことを強く印象付けた会見だった。