バルセロナがブラジル代表MFコウチーニョ(27)とチェルシー所属のフランス代表MFカンテ(29)のトレードの道を模索すると、スペイン紙ムンド・デポルティボ電子版が15日に伝えている。

同紙によると、中盤のラキティッチとビダルの退団が濃厚なバルセロナは現在、強靱(きょうじん)なフィジカルを備え、ボール奪取に優れ、中盤のクオリティーを高めることができる運動量豊富なMFを探しているという。以前からカンテには興味を持っていたが、中盤の選手層が厚かったこと、移籍金が高額であったため獲得に動いていなかった。

しかし、新型コロナウイルスの影響を大きく受け、今夏の移籍市場が特別な状況に陥ること、そして財政面が困難であることを考慮し、クラブはトレードが資金難を補うためのベストな選択肢と考えているという。またバルセロナは昨年夏にもバレンシアとの間でシレセンとネトのトレードを行っている。

そのような状況の中、カンテの獲得に向けた最適な選手としてコウチーニョの名が挙がっている。コウチーニョは今季、期限付き移籍でバイエルン・ミュンヘンに所属。しかしBミュンヘンは来季に向けて1億2000万ユーロ(約144億円)の買い取りオプションを行使しない予定のため、一度バルセロナに戻ることになる。

バルセロナは18年1月に1億2000万ユーロ(約144億円)プラス出来高ボーナス4000万ユーロ(約48億円)で獲得したが、現在の市場価値は半額の8000万ユーロ(約96億円)にまで落ちている。

そしてコウチーニョは現在、バルセロナ復帰を望まず、かつてリバプールで成功を収めたプレミアリーグ行きを熱望しており、獲得候補としてチェルシー、アーセナル、トットナム、レスターの名前が出ている。その中でチェルシーはカンテが所属しているクラブ。しかもカンテはランパード監督就任後、主役級の役割を果たせていない。

バルセロナは18年のワールドカップ(W杯)王者の一員であるカンテについて、ボール奪取において世界最高の選手と評価し、チームを変える存在と見ている。チームにはブスケツという世界トップクラスの選手がいるものの、今年6月で32歳になり、肉体的消耗が最近、非常に大きなものになっている。

カンテの他にもエンドンベレ(トットナム)やファビアン(ナポリ)のような獲得候補選手がいるが、ムンド・デポルティボ紙はバルセロナの中盤にとってカンテが間違いなくベストプレーヤーであり、今夏、プレミアリーグ行きを望むコウチーニョとのトレードの道を模索すると伝えている。

同紙が「バルサにとって何がベストか?」というアンケートを実施したところ、「コウチーニョを連れ戻すこと」が7・36%に対して、「コウチーニョとカンテをトレードすること」が92・64%。カンテを求める声が大多数を占めている(回答約4000人)。(高橋智行通信員)