日本代表FW南野拓実(25)が所属するイングランド・プレミアリーグのリバプールは、30年ぶりのリーグ制覇を前に、同市のジョー・アンダーソン市長と真っ向から意見対立し、大きな波紋を呼んでいる。

新型コロナウイルス感染拡大で3月13日にリーグ中断に入る前までリバプールは勝ち点82まで伸ばし、2位マンチェスター・シティーに25点差をつけて首位を独走中。残り9試合で2勝すれば、89-90年シーズン以来、実に30年ぶりのリーグ優勝が決まるが、アンダーソン市長は社会的距離ルール違反による市内の混乱を想定し、シーズン打ち切りを要求した。

リーグは6月8日の再開を目指し、5月中旬には練習再開する予定となっているが、4月30日の英BBCスポーツのインタビューでアンダーソン市長は「時期尚早」と持論を展開。無観客試合であってもリバプール優勝が決まった場合、セレモニー行事で数千人が本拠地アンフィールド周辺に群がるとし「シーズンを打ち切ることが最善の策と思う」と口にした。

さらに「リバプールの優勝は明らかで、それに値する。タイトルを獲得すべきだ」としながら「肝心なのは第1が市民の健康と安全。第2がサッカーでなければならない。優勝を祝うために多くの人が来るからだ。もはやチームだけの問題ではない」と口調を強めた。サポーターが路上で社会的距離を無視し、地元警察に大きな負担がかかる心配もあり「多くの人がアンフィールド周辺に集まって祝うことになる。警察の懸念も理解し、私たちの困難にもなる。公衆衛生当局も懸念している」と続けた。

この市長の「横やり」に対し、リバプールは強く反論した。「クラブとして、アンダーソン市長のコメントに失望している。そのような主張を裏付ける根拠が欠如している」などと異例の声明を発表。無観客試合開催を想定したクラブは社会的距離を尊重するため、主要な利害関係者や支持グループから全面協力を確約されたとし「市長や市役所と定期的に連絡を取り合っており、これらの会議が継続できることを願っている」と強く訴えた。

新型コロナウイルスの影響で、30年ぶりのリーグ制覇という大イベントにもかかわらず、リバプールVS行政の対立が激化している。