新型コロナウイルス感染拡大の影響で中断していたドイツ・ブンデスリーガは、16日に再スタートを切る。10週間ぶりの再開で、世界の主要プロスポーツリーグでは初となる。1部リーグは16日に6試合が行われ、MF長谷部誠とMF鎌田大地が所属するフランクフルトはボルシアMGをホームに迎える。リーグは無観客試合での再開に向けた詳細なガイドラインを策定。この先行した取り組みを中断中のJリーグだけでなく、世界各国のリーグが注目している。

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見えない敵との戦いに不安が残る中、約2カ月ぶりにブンデスリーガが再開する。隣国のオランダとフランスはシーズンの打ち切りを決めたが、ドイツは無観客試合でのリーグ継続に向けた綿密な計画を公表しながら、準備を整えてきた。

試合の運営は人員を抑え、両チームの選手、スタッフを含め300人程度に設定。スタジアムを内部、スタンド、周辺の3つに区画し、動線に工夫を施した。各区域に立ち入れるのは100人前後とし、時間帯によっても入場可能な人数を制限。人同士の接触を極力減らす。

平均入場者数が4万人以上のブンデスリーガだが、無観客のスタジアムには監督の指示などが響くことになる。ライプチヒのナーゲルスマン監督は14日のテレビによる記者会見で「スタジアム内の音量はいつもと違う。マイクもオンになっており、私の声もよく聞こえるだろう。社会的に受け入れられる形で振る舞うようにしたい」と、これまでと違う姿勢で臨む。

リーグはその他にも(1)16歳以上の4人のボールボーイのみをピッチ脇に配置する。定期的に手を消毒し、ボールも試合前と試合中に消毒する。(2)クラブのマスコットと子供の入場は許可されず、試合前の握手もなし。(3)プレスルームと取材エリアは閉鎖。記者会見はネット、電話などの方式のみ許可。(4)選手と審判を除く全員がマスクを着用。(5)各チームの食事はチームのシェフが事前に準備し、スタジアムに持ち込むなど感染予防のため、さまざまな指針を策定した。

また、1試合の交代枠を通常の3人から5人に増やす一時的な改正規則を、世界の主要リーグで初めて導入する。公式戦再開後の過密日程で、選手をけがのリスクから守る狙いがあるが、この変更により戦術の幅は広がることになる。

ドルトムントのファブレ監督は「非常に良いアイデア」としながらも、こちらについては「まだ準備はできていない」と慎重。ただドイツのサッカー専門誌キッカーが、途中出場からの得点の多い選手を特集しているようにスーパーサブの存在が勝敗を分けそうだ。

今後への試金石となるブンデスリーガには、世界中から熱い視線が注がれる。