ドルトムントの19歳FWアーリング・ハーランドが、リーグ再開第1号ゴールを決めた。

前半29分、右サイドを抜け出したMFアザールが中央へ折り返したグラウンダーのパスに、素早く走り込んだハーランドが左足で合わせ、ゴールネットを揺らした。今季の自身10得点目。身長191センチ、ノルウェー出身の「怪物」ストライカーは、1月にオーストリア1部ザルツブルクから加入したばかりなのに、シーズン2桁得点の大台をマークした。

この日、同時刻で行われた5試合でのファーストゴールだった。ハーランドは駆け寄った仲間とはふれ合うことなく、しっかり感染予防の「ソーシャルディスタンス」をキープし、満面の笑みで体を左右に揺らして喜びを表現した。

新型コロナウイルスへの対策として、ブンデスリーガは徹底したガイドラインを作成した。この日、ホームチームのドルトムントは各自が自家用車で、相乗りは避けてスタジアム入り。アウェーチームのシャルケの会場入りとは時間もずらした。ロッカールームは1メートル50センチ離し、滞在時間も30分以内と制限した。

選手はマスクを着用してピッチサイドへ移動。試合前の両チームによる握手や円陣などは一切、行われなかった。8万1365人収容の試合会場「シグナル・イドゥナパーク」には、選手、チーム関係者、メディア関係者など319人だけの入場となった。

ただ、実際に試合が始まれば、ソーシャルディスタンスはどこ吹く風、球際での激しい攻防が目立った。試合中は、ピッチの選手の声が無観客のスタンドにこだました。

優勢に試合を進めたドルトムントは、前半45分にもMFゲレーロが左足シュートで加点。後半3分には鋭いカウンター攻撃から、最後はMFアザールが右足で3点目を奪った。

リーグ2位につけるドルトムントの攻勢はまだ終わらない。後半18分、スルーパスで抜け出したMFゲレーロがこの日2点目となるゴールで4-0とした。サッカーができる喜びを表現するかのように躍動した。

交代した選手はピッチに戻ると、すぐにスタッフからマスクを手渡され、口をガードする徹底ぶり。一方で、ピッチ脇で声を出し続ける両チームの監督の口にはマスクが着用されていなかった。

アディショナルタイムはなく、試合はドルトムントが4-0で勝利した。大歓声こそないが、ホームスタジアムには関係者たちの拍手が鳴り響いた。選手たちには安堵(あんど)感から笑顔が自然と広がった。

まだまだ予断できない状況は続くが、ひとまず欧州にサッカーが戻ってきた。