新型コロナウイルス感染拡大の影響で中断していたブンデスリーガが16日、世界の主要プロスポーツリーグの先陣を切って約2カ月ぶりに再開した。3月13日から中断していたが、MF長谷部誠とFW鎌田大地が所属するフランクフルト-ボルシアMG戦など6試合と、2部4試合が無観客で行われた。再開初日は大きな混乱もなく、予定の全試合を消化。サッカー界だけでなく、スポーツ界にとっても大きな1歩。ただ、試合風景は“コロナ前”とは大きく様変わりした。

欧州にサッカーが帰ってきた。これまでとは“全く違った姿”で。試合前の整列はなく、両チームの先発選手による握手や円陣もなし。会場によって、ベンチメンバーはマスク着用で観客席に間隔を空けて座るなど、感染症対策のガイドラインに沿って距離を守った。ゴールパフォーマンスも様変わり。ハイタッチ、抱擁はせず、肘でのタッチなどにとどめた。ボールがライン外に出る度に、タオルで拭くなど入念な対策も。何より、無観客だった。選手はテレビやパソコン、タブレットなどで観戦するファンに、勇姿を届けた。

選手らは定期的なPCR検査など、多くの条件をクリアしてキックオフを迎えた。再開1号は伝統のドルトムント-シャルケのルール・ダービーから生まれた。ドイツ最大規模のスタジアム、ジグナル・イドゥナ・パルクは通常8万人超を収容する。ここでのダービーは欧州屈指の盛り上がりをみせるが、無観客でガランとしたまるで別世界。選手や監督の声がこだまし、主審の笛も大きく響き渡る中、ドルトムントの19歳FWハーランドが前半29分に左足で決めた。チームメートは抱きつくことなく距離を保ち祝福。4-0の勝利に、先制弾のノルウェー代表FWは「7週間試合でプレーしていないが、一生懸命練習した。だから(ゴールに)驚きはないよ」と笑顔を見せた。

交代枠は、通常の3枠から5枠に増えた。競技規則を定める国際サッカー評議会(IFAB)が8日に一時的な規則改正案を承認。世界各地で中断している公式戦の再開後、日程が過密となることを見据えた措置。日本でも再開後のJリーグは交代5人で行われる見込みだ。今までとは異なる試合にドルトムントのファーブル監督は「シュートを打っても、最高のパスを出しても、ゴールを決めても(静かで)何も起きない。非常に奇妙だった」と口にした。

一方で選手は素直な気持ちを吐露。ドルトムントMFブラントは「このような状況で楽しみを見つけることも大事。今日はその一部があったね」。敗れたシャルケのMFカリジューリも「(結果は)全然良くなかったが、我々にとっては最高の日」と口にした。