17年にブラジル女子1部リーグで日本人選手で初めてプロ契約を結んだブラジル女子1部アバイ・キンダーマンのMF藤尾きらら(21)が6日、小学生の子供らを対象にしたオンラインセミナーに出演し、海外リーグに挑戦する夢をかなえた自身の歩みなどを語った。

藤尾は女子サッカーの名門、日ノ本学園(兵庫)を卒業後、なでしこリーグのクラブなどからのオファーを断り、単身ブラジルへ。3度の入団テストを経て現地クラブのプロ契約を勝ち取り、現在3シーズン目を迎えている。

事前募集した約10人の子供たちに現地での経験などを伝え、質問にも答えた。藤尾が海外リーグを志したのは高校2年の頃。現地では寮に入って仲間と共同生活しており「日本のことは忘れる。ここはブラジルだと頭に置いて生活をしています」とメンタル面の保ち方を語った。

当初は言葉も分からず、出場機会もなかなかめぐってこなかった。観客から、やじられることもあった。その中で「みんなのプレースタイルを理解した上で、自分の良さや、やらないといけないプレーを考えないといけない。挫折も味わいましたけど、普通に楽しんでやっていましたね。やり続けて、成長させて定着していくという感じです」と振り返った。

昨秋から負傷で一時帰国しており、今年3月には新シーズンに向けてブラジル入りする予定だった。しかし、現地で新型コロナウイルスの感染が広がり、リーグ戦が停止。今も入国できない状況が続いている。実家のある熊本に身を置き、チームから受け取るフィジカルメニューをこなしながら、再開を待っている。藤尾は「現地で感染する可能性もあるので不安はありますけど、ブラジルに早く行きたい。今、調子がすごくいいんです」とはやる気持ちも口にした。

セミナーには藤尾も契約するメンタルコーチの森西美香氏も出演した。「夢をかなえること」をテーマとしたトークセッションのほか、体のパフォーマンスを上げるストレッチなどのコンディショニング講座も実施。参加者が今後の夢を語るコーナーでは、藤尾も新たな夢を語り「8番をつけて、なでしこジャパンでW杯を優勝することです。8番は高校の時につけていたし、ブラジルで初めてつけた背番号なので」と力強く宣言した。【松尾幸之介】