日本サッカー界の星が再び歩み出した。新型コロナウイルスの感染拡大による中断が明けたスペインリーグのマジョルカに所属する日本代表MF久保建英(19)が13日(日本時間14日)、再開後の初戦で下部組織に在籍し「古巣」でもある強豪バルセロナと対戦。チームはホームで0-4と力の差を見せつけられたものの、フル出場した久保は前半だけで3本の枠内シュートを放つなど存在感を発揮。チームでも攻撃の中心として認められていることを示した。次節は16日にビリャレアルと対戦する。

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進化を示す瞬間だった。前半31分、ゴール正面約20メートルの好位置からのFK。久保はボールを抱え、「蹴るのは自分だ」とはっきり意思を示した。加入当初はチームの柱であるFWサルバ・セビージャがキッカーを務めたが、この日は違う。中断前のシーズン序盤、自身が反則を得た際にもキッカーを譲っていた姿はもうない。リーグ再開時に、チームを引っ張る存在に成長したことを証明した。

低く鋭い弾道で放った無回転シュートは壁を抜けたもののGKテアシュテーゲンの正面。得点はならなかったが、ドイツ代表の守護神がキャッチできずにファンブルする威力だった。終盤は右サイドから左へ位置を変えながら、ドリブルとパスで果敢に仕掛けた。主導権は終始バルセロナにあったが、チームで唯一、枠内に3本のシュートを放つなど、完敗の中で孤軍奮闘。攻撃のリーダーシップを発揮した。

新型コロナウイルスの感染拡大でリーグ中断は約3カ月に及んだ。さなかの4日に19歳の誕生日を迎えた際には自身のインスタグラムで「プレーでたくさんの人たちに幸せを少しでも感じてもらえるような選手になりたい」と、大きな志をつづった。試合前日のインタビューでは首位バルセロナ相手にも「なにがなんでも勝たなければ」。点差が開いた終盤も、前を向いて果敢に仕掛けた。

マスクと手袋を着用してのスタジアム入り、無観客試合と新型コロナウイルスの影響は色濃く残った。それでも集中力を保ち、90分間を走りきった。残るリーグ戦は10試合。チームは暫定18位で、最大の使命は降格の回避となる。「汗の最後の1滴が流れるまで戦わないといけない」と話す19歳が、マジョルカの顔になりつつある。

○…バルセロナのアルゼンチン代表FWメッシが1ゴール2アシストの活躍を見せた。前半37分の2点目、後半33分の3点目を演出して大勢を決すると、後半ロスタイム3分に利き足でない右足でのゴールでだめ押し。これで今季20ゴールとなり、08年から12シーズン連続で20得点を達成した。史上最多6度のバロンドール受賞を誇る実力者が、中断のブランクも関係なく、次元の違いを見せつけた。